
コメ(Rice)の特徴
取引所:大阪堂島商品取引所
コメは日本人の主食として供されるなど、とても馴染みの深い農産物です。そもそも、稲は熱帯性の1年性の農産物ですが、地球温暖化や品種改良が進んだため、現在は、北は北海道から南は沖縄まで47都道府県で生産されています。秋に収穫されたコメは新米として流通します。
わが国のコメの年間生産量が約850万トンなのに対して、消費量は民間、政府米合わせて810万~820万トン程度ですが、生産量・消費量とも年々縮小する傾向にあります。コメの価格は”新潟産コシヒカリ”というように、産地別、ブランド別に分かれて形成され、政府のコメ政策にも左右されます
価格変動要因
- 供給サイド
1.天候に左右される
他の農産物同様、コメの生産量は天候に大きく左右されます。「日照りに不作なし」ということわざがあるように、イネは比較的高温に強いのですが、田植え期の低温、開花期前後の低温は茎数を減少させ、収量を低下させる要因となります。また、雨台風は稲の倒伏を招き、これも減収要因となります。気温が低く、日照時間の少ない年は、”いもち病”などの病虫害の発生が多くなるので要注意です。
2.作況指数が生産量の判断基準
その年のコメの収量を判断する”モノサシ”となるのが作況指数です。作況指数とは、その年の作柄が平年に比べてどうなのかを指数にしたものです。農林水産省は7月、8月、9月に『作柄概況調査』を発表、そのなかで作況指数を発表します。最終的な収穫量と作況指数は、12月に公表されます。
3.作付面積を決定する『基本指針』
当該年産の『生産数量目標』は、前年11月末までに農林水産省が決定、これにより作付面積のガイドラインが示されます。食糧法によると、農水省は『基本指針』(米穀の需給及び価格の安定に関する基本方針)を毎年7月に策定し、11月と翌年3月に改定、このうち11月に改定される『基本指針』に作付面積が示されます。これをベースにして、都道府県、市町村が作付面積を配分していきます。
- 需給サイド
1.消費量は年々減少
コメの消費量は、生産量同様、年々縮小傾向にあります。平成11~12年度のコメ消費量は907万トン強でしたが、23~24年度(予想)は805万トン弱と予想され、800万トンを下回るのは時間の問題といえるでしょう。
その背景は、人口が減少に転じたうえ、少子高齢化が進行しているのと、パンやパスタを主食にする消費者が増えているからです。2.古米の在庫が需給を左右
コメは年に一度しか収穫されませんが、前年産など古米として数年間在庫が可能なため、この在庫数量が価格を左右することが珍しくありません。
ただし、当該年度のコメ生産が天候不順などで支障が出るようですと、古米の需要も増加して、全体の在庫が減少し、価格が上昇する要因になります。3.景気が外食需要を左右
コメの消費量は家庭用以外にも、コンビニを中心としたおにぎりや弁当、更にファミリーレストランなどの外食需要に影響されます。その外食需要は景気に左右されます。したがって、日本の景気動向に注意する必要があります。
4.突発的な事態で乱高下
2011年に東日本大震災が発生、有事に備えての備蓄需要が発生しました。また、福島原発事故のよる放射能汚染の影響も無視出来ません。
汚染されたコメは市中に出回ることは実質的に不可能なため、放射能汚染が拡大した場合は、検査が完了している安全な22年産の消費が増え、『古米が宝物になる』可能性があります。
従って、コメ産地と放射能汚染、国の安全政策もコメ需給に影響を与える要因になります。
主材料の発表予定
材料 | 発表予定 | 発表機関 |
---|---|---|
種子更新率 | 3月 | 全国米麦改良協会 |
15日現在生育概況 | 7月から10月の月末 | 農林水産省統計部 |
コメ生産費 | 10月20日頃 | 農林水産省統計部 |
水稲の作付面積及び予想収穫量(10月15日現在) | 10月下旬 | 農林水産省統計部 |
水陸稲の収穫量 | 12月初旬 | 農林水産省統計部 |
需要要因
材料 | 発表予定 | 発表機関 |
---|---|---|
生産者の米穀在庫等調査 | 6月末 | 農林水産省統計部 |
1人1ヵ月当たり消費量 | 毎月下旬 | 米穀機構 |
コメに関するマンスリーレポート | 毎月10日前後 | 農林水産省総合食料局 |
需給要因
材料 | 発表予定 | 発表機関 |
---|---|---|
米穀の需給及び価格の安定に関する基本方針 | 7月下旬 | 農林水産省 |