米連邦政府は10月1日に、予算切れによる一部政府機関の閉鎖を開始しました。上院は、前日に通らなかったつなぎ予算案を改めて採決したものの、再び否決。1日から新たに2026会計年度(2025年10月~2026年9月)入りしたものの、与野党の対立激化で予算成立の目途は立たずとなっております。

政府機関の閉鎖は第1次トランプ米政権時の2018年12月〜2019年1月以来約7年ぶり。この時は35日間と過去最長を記録しました。ジョンソン下院議長(与党共和党)は記者会見で、「閉鎖が長引くほど、痛みは増す」と警告。2025年度の支出水準を維持するつなぎ予算案の速やかな議会通過を訴えております。

共和党は上院(議席100)で僅差の過半数を維持するものの、予算案通過にはフィリバスター(議事妨害)阻止のため60票を確保する必要があり、野党民主党の協力が不可欠となります。ただ、民主党はつなぎ予算案に、医療保険補助の延長や、大幅削減された低所得者向け医療支援の復活を盛り込むように要求。民主党上院トップのシューマー院内総務は、共和党案では「医療を守れない」と強調。「共和党は我々との交渉が必要だ」と述べております。ただ、バンス副大統領が「医療について交渉する前に、(予算可決で)政府再開だ」と発言するなど、与野党の主張は平行線を辿っており、閉鎖がどれくらい続くのか不透明感が漂っております。

一方、トランプ米大統領は政府閉鎖を機に、職員の大量解雇や、事業の大幅削減を進める意向を示しております。トランプ米政権は10月1日に、民主党支持派の多い州に対する260億ドルの資金拠出を凍結したと発表。標的となったのは、NY市における180億ドル規模のインフラ事業や、カリフォルニア州やイリノイ州など16州での約80億ドル規模の環境関連事業。同党への圧力をじわり強めております。

また、バンス米副大統領は10月1日に、政府機関の一部閉鎖が長引けば、一部職員を解雇する可能性があると警告。12月までに解雇が予定されている30万人を上回る可能性を示唆しました。これまでの政府閉鎖では、緊急性の低い部門の職員は自宅待機となり、その間の賃金は予算成立後に支払われていました。米議会予算局(CBO)の試算によると、閉鎖で約75万人の職員が自宅待機となり、1日当たりの賃金コストは約4億ドルに上るとしております。

◆米政府機関の一部閉鎖、計20回発生

米政府機関の一部閉鎖は1977会計年度以降、計20回発生している。近年は党派色の強い政策を巡って、予算審議が難航することが多く、1990年度以降では15日以上の長期に及ぶ閉鎖は3回発生している。最も長かったのは第1次トランプ政権(共和党)時で、35日間に及んだ。1期目のトランプ米大統領がこだわったメキシコ国境の壁建設費を巡る与野党の対立が背景。

◆フィッチ、米政府閉鎖は格付け影響せず

格付け大手フィッチ・レーティングスは10月1日に、米政府機関の一部閉鎖を踏まえ、米国債の信用格付けについて短期的な影響はないとの見解を示した。一方、長期化すれば「財政の信認に重荷となるだろう」と警告した。

 

 

 

※豊トラスティ証券株式会社が提供する投資情報は、あくまで情報提供を目的としたものです。銘柄の選択、売買価格など投資にかかる最終決定は弊社の重要事項説明書を十分にお読み頂き、投資家自身の判断でなさる様にお願い致します。本資料作成につきましては細心の注意を払っておりますが、その正確性については保証するものではなく、万一その内容に誤りがあった場合、その誤りに基づく障害については当社は一切の責任を負いかねます。