IMFの世界経済成長見通し

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国際通貨基金(IMF)は10月14日に、最新の世界経済見通しを公表。2025年世界成長率を3.2%と予測。前回7月時点の見通しから0.2ポイント引き上げております。トランプ米政権の高関税政策への適応が進み、影響が当初想定より小さいと見込んでおります。2026年は3.1%で据え置き。ただ、世界の成長率はコロナ禍前の平均だった3.7%を大きく下回っております。

IMFチーフエコノミストのグランシャ氏は、「米関税は依然極めて高く、影響の判明には時間が掛かる」と指摘。「リスクは下向きだ」とし、関税が再び引き上げられれば、2026年の成長率は0.3ポイント下押しされるとの見方を示しました。

 

国別 IMFの経済成長見通し

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国・地域別(2025年)で見てみると、米国は2.0%と予測。7月時点から0.1ポイント引き上げております。2026年は2.1%と予測(同2.0%)。ユーロ圏は1.2%と予測。7月時点から0.2ポイント上方修正。米国と関税交渉で合意に至ったことが要因。2026年は1.1%と予測(同1.2%)。

中国は7月時点と変わらずの4.8%と予測。2026年も4.2%で据え置かれ、今年の中国政府目標の「5%前後」は下回る見通し。なお、米中貿易摩擦が再燃しているが、今回の予測には反映されていないとしております。

日本は1.1%と予測。7月時点から0.4ポイント上方修正。IMFは、他の国・地域より大きい上方修正の理由を実質賃金の上昇が個人消費を支えるためと説明しております。ただ、外需の鈍化を受けて、2026年は0.6%に鈍化するとしました(同0.5%)。

◆IMF、「AIブーム」がリスクに

国際通貨基金(IMF)は世界経済見通しで、下振れリスクの一つとして「人工知能(AI)への過度に楽観的な成長期待」を挙げました。こうした期待が後退すれば、高水準にある株価が急落する可能性があると指摘。2000年代初めのITバブルの崩壊を引き合いに、現在の「AIブーム」に警戒感を示しております。

IMFはハイテクやAI関連部門の株高について、「生産性向上への期待から押し上げられている」と分析。期待が実現しなければ、失望で株価の見直しを招くと警告。「AIブームが突然終われば、深刻度は2000~2001年のドットコムバブル崩壊に匹敵し得る」とし、その場合「家計の富が減り、消費を弱めかねない」と指摘しております。また、そのほかの下振れリスクとして、米国の高関税など貿易政策を巡る不透明感のさらなる強まりや、主要国の債務懸念を挙げております。

 

IMF、成長率見通し

2024年

2025年

2026年

世界全体

3.3%

3.2%(+0.2)

3.1%(0.0)

米国

2.8%

2.0%(+0.1)

2.1%(+0.1)

ユーロ圏

0.9%

1.2%(+0.2)

1.1%(-0.1)

英国

1.1%

1.3%(+0.1)

1.3%(-0.1)

カナダ

1.6%

1.2%(-0.4)

1.5%(-0.4)

中国

5.0%

4.8%(0.0)

4.2%(0.0)

インド

6.5%

6.6%(+0.2)

6.2%(-0.2)

ブラジル

3.4%

2.4%(+0.1)

1.9%(-0.2)

日本

 0.1%

1.1%(+0.4)

0.6%(+0.1)

※豊トラスティ証券作成、カッコ内は7月時点からの修正幅

 

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