NY金
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先週のNY金(中心限月)は、前週末比98.1ドル安の3287.6ドルで終了。2週連続で下落しております。中東の「地政学リスク」の高まりを受けて、6月16日に3476.3ドルまで上昇するも、一段高とはならず。米国がイランの核施設への攻撃に踏み切ったことを受けて、買われる場面も見られるも、材料出尽くし感が強まる中、買い方の利喰い売りが出易くなっており、上値の重い展開は変わらず。トランプ米大統領がSNSに「イスラエルとイランは完全かつ全面的な停戦で合意した」と投稿したことを受けて、24日に急落。節目の3350ドルを割り込みました。その後下げ渋りの動きを見せるも、再度27日に急落。3266.5ドルまで下げる場面も見られております。
イランは核開発を続ける姿勢を崩しておらず、目先は米国とイランの核協議に進展がみられるかが焦点となりそうです。イランの核関連施設の被害状況を巡り、様々な情報が飛び交っており、先行き不透明感は依然強い情勢。また、イスラエルとイランとの間で停戦状態は維持されているものの、合意の具体的内容は明らかにされておらず、偶発的に戦闘が再開される懸念も根強く残っております。
また、FRBの利下げ時期を巡る思惑も相場を左右しそうです。パウエル議長は先週行われた議会証言で、早期の利下げに慎重姿勢を崩さなかったものの、FRBのウォラー理事とボウマン副議長が相次いで7月の利下げ可能性について言及したことから、FRBによる早期利下げ観測が俄かに高まっております。
先週発表された米失業保険継続受給者が約3年半ぶりの高水準に増加し、労働市場に減速の兆しが出始める中、2025年1-3月期米実質GDP(国内総生産)確定値は、改定値から下方修正され、米経済の減速感が意識され始めております。一方で、5月米個人消費支出(PCE)物価指数は、前年同月比2.3%上昇と、伸び率は前月(2.2%上昇)からやや加速したものの、市場予想(2.3%上昇)と同水準だったため、インフレ圧力が高まっている兆候は見られていないとの見方から、FRBによる利下げ再開観測が拡がっております。利下げを求めているトランプ米大統領が、来年5月に任期が切れるパウエルFRB議長の後任の早期指名を検討しているとも報じられていることも、早期利下げ観測に拍車をかけている模様。
とは言え、CMEが公表している「FedWatch(フェドウォッチ)」によると、市場では9月に利下げを再開するとの見方が、依然大勢を占めておりますが、労働市場の緩やかな減速が示唆される中、インフレの落ち着きが確認されていくようだと、市場でも7月利下げ観測が拡がる可能性がありそうです。
テクニカル的にMACDがデッド・クロスとなる中、ここまでサポート・ラインとして意識されてきた50日平均線を割り込み、心理的節目の3300ドルも下回っただけに、このまま3300ドル台に戻せない様だと、短期的に5月15日の安値3123.3ドルから6月16日の高値3476.3ドルの上げ幅をフィボナッチリトレースメントで見た場合の61.8%押し水準3258.1ドル辺りまで下げて来ることも想定されます。
ただ、トランプ米政権の大型減税法案の行方や連邦政府の債務上限問題に加え、相互関税の猶予期限も迫っております。中東情勢が一段と悪化する懸念も払しょくされておらず、引き続き安値は買い拾われそうです。世界の金ETFの金保有残高は、引き続き増加傾向にあり、中央銀行の旺盛な金買いも続く中、実需の買いが価格を下支えしそうです。
SPDRゴールド・シェアの金保有残高
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最後に、世界最大の金ETFである「SPDRゴールド・シェア」の金保有残高は6月27日時点で前週末比4.58トン増加の954.82トンと、6週連続で増加しております。
一方、世界第2位の金ETFである「iシェアーズ・ゴールド・トラスト」は前週末比4.16トン増加の441.92トンと、4週連続で増加。
※豊トラスティ証券株式会社が提供する投資情報は、あくまで情報提供を目的としたものです。銘柄の選択、売買価格など投資にかかる最終決定は弊社の重要事項説明書を十分にお読み頂き、投資家自身の判断でなさる様にお願い致します。本資料作成につきましては細心の注意を払っておりますが、その正確性については保証するものではなく、万一その内容に誤りがあった場合、その誤りに基づく障害については当社は一切の責任を負いかねます。