米ドル・円

↓クリックすると拡大します↓

 

米ドル・円は、4月29日に一時160.22円まで円安が進み、1990年4月以来、34年ぶりに160円台に乗せる場面も見られたものの、4月29日と5月2日の2度にわたり、政府・日銀は計8兆円規模の円買い介入を行ったとの観測が拡がる中、過度な円安に一旦歯止めが掛かり始めている様です。

また、FOMC(米連邦公開市場委員会)後の記者会見で、パウエル議長が「追加利上げの可能性は低い」と述べたことに加えて、4月米雇用統計が米労働市場の減速を示唆する内容となったことで、FRBが年内に2回利下げを実施するとの観測が再び強まる中、ドル独歩高の流れが一服。米長期金利が低下し始める中、日米金利差拡大観測がやや後退し始めていることも、円の買い戻しを促した様です。

なお、米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、大口投機家のIMM通貨(円)のネット・ロングは4月30日時点で前週比1万1531枚増加のマイナス16万8388枚と、7週ぶりに増加に転じました。その後の円高進行を受けて、さらに買い戻しが進んでいるとの見方が出ております。目先は、5月15日に発表される4月米消費者物価指数(CPI)も米景気の減速を示す内容となるか注目されます。

とは言え、日本企業の海外進出が進み、国外で稼いだ外貨を国内に還流せずに再投資するなど、企業活動の変容が構造的な円買い需要の縮小を招いているとの見方が出ております。また、日銀が早期に追加利上げに動くとの見方は少ない上に、150円辺りでは輸入企業の円買い需要は根強いことから、一段の円高には進みにくいと見られております。

そんな中、ジワジワと円安が進んでおりますが、再度政府・日銀が円買い介入に動くのか、しばらくは様子見姿勢を続けるのか注目されます。

なお、日銀の植田総裁は衆院財務金融委員会で、「過去の局面と比べて為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている」との見解を示し、「最近の円安の動きを十分注視している」と強調。「企業の賃金・価格設定行動がやや積極化する動きがみえている」とした上で、為替の変動で「場合によっては基調的な物価上昇率が動くことになってくる」と述べております。また、その様な状況になれば「金融政策上の対応が必要になる」と述べております。

 

 

IMM通貨(円)のネット・ロング

↓クリックすると拡大します↓

 

 

 

※豊トラスティ証券株式会社が提供する投資情報は、あくまで情報提供を目的としたものです。銘柄の選択、売買価格など投資にかかる最終決定は弊社の重要事項説明書を十分にお読み頂き、投資家自身の判断でなさる様にお願い致します。本資料作成につきましては細心の注意を払っておりますが、その正確性については保証するものではなく、万一その内容に誤りがあった場合、その誤りに基づく障害については当社は一切の責任を負いかねます。