米国の財政収支
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米上院は11月10日に、つなぎ予算案の修正案を可決し、下院に送付しました。下院での再可決を経て、トランプ米大統領の署名により成立する見通し。予算切れによる政府機関の一部閉鎖は10日で41日目となり、過去最長を更新し続けていますが、政府再開に向け大きく前進しております。
下院のジョンソン議長(与党共和党)は、修正案を「できる限り早期に採決する」と述べております。米メディアによると、下院の採決は12日にも行われる模様。トランプ氏は、修正案が議会を通れば署名する意向を示しております。
民主側の8人が共和党執行部と合意し、フィリバスター(議事妨害)を避けて採決に進む討議終結手続きが前進。そのため、上院は11月9日につなぎ予算案の期限を来年1月30日まで延長した上で、トランプ米政権が政府閉鎖中に実施した政府職員解雇の撤回や、フードスタンプと呼ばれる補助的栄養支援プログラム(SNAP)を所管する米農務省や軍事施設の建設などの3つの歳出法案を会計期末となる2026年9月末までの通年分を盛り込んだ修正案に関する動議を可決。民主党が求めてきた医療保険制度(オバマケア)への補助の1年延長は盛り込まれず、同党議員の多くは反対票を投じたものの、一部が職員解雇撤回などを評価して賛成に回り、上院通過が確実となっております。
なお、トランプ氏は「とてもよい取引だった」と述べ、現行の公的医療保険制度には欠陥があるとの主張を繰り返しております。共和指導部は補助延長を12月に採決すると約束しているものの、成立は困難な情勢。なお、民主党からは団結に失敗した上院民主トップのシューマー院内総務の交代を求める声が相次いでいる模様。
政府閉鎖では、自宅待機中の職員だけでなく、勤務を続ける航空管制官らにも給与が未払いとなっており、米国版の生活保護制度にあたるSNAPの支給を巡っても、連邦裁判所の決定を受けて政府が表明する11月の支給額が二転三転しております。また、米運輸省は無給で働く空港職員の負担軽減のため、米国の40の主要空港で運航を最大1割削減すると表明。欠航増加で空の便が混乱しております。
なお、米議会予算局(CBO)は10月29日に11月12日まで6週間にわたって閉鎖された場合には110億ドル、感謝祭前の11月26日まで8週間の閉鎖となれば140億ドル、それぞれ恒久的な損失が発生し、2025年第4四半期のGDP(国内総生産)を最大2%押し下げる可能性があると試算しています。
◆ハセットNEC委員長、米政府閉鎖の影響「想定より深刻」
ホワイトハウスの国家経済会議(NEC)のハセット委員長は11月7日に、FOXビジネス・ネットワークとのインタビューで、連邦政府機関の一部閉鎖による経済への影響は当初の想定よりもはるかに深刻になっていると述べました。ただ、閉鎖が解消すれば経済は速やかに持ち直すとの見方を示しております。
◆トランプ米政権、食料支援巡る連邦地裁の命令差し止めを最高裁に請求
米政府機関の一部閉鎖が続く中、トランプ米政権は11月7日に、連邦最高裁判所に対して、11月の低所得者向け食料購入補助制度の全額支給を促す連邦地裁の命令差し止めを請求しました。ロードアイランド州プロビデンスの地裁判事は6日に、推計40億ドルの資金不足を7日までに補填するように、米農務省に求める命令を発令。政権はこれを差し止めるため、数時間内の対応を求める緊急要請を最高裁に提出しております。
◆米航空各社、段階的な減便開始
米連邦航空局(FAA)は政府閉鎖で無給となっている航空管制官らの負担や、人員不足によるリスクを軽減するため、国内線の運航を11月7日から段階的に減らすよう各社に指示。そのため、米国の航空各社は国内40の主要空港での段階的な減便を開始しました。各社が運航スケジュールの調整や、欠航による顧客対応に追われる中、10日は1500便超が欠航となっております。
なお、トランプ米大統領は11月10日にSNSで、欠勤している航空管制官に対して、職場復帰しなければ大幅な減給対象になると警告。一方で、欠勤しなかった職員には1人当たり1万ドルのボーナス支給を推奨すると強調しております。
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