トランプ米大統領は11月10日に、合成麻薬「フェンタニル」の米国流入を理由に中国に課している関税を20%から10%に引き下げました。中国政府も大豆やコーンなどへの対米報復関税を停止しております。また、中国商務省や公安省は同日に、フェンタニルの原材料となる関連物質など13の化学物質の米国とカナダ、メキシコ向け輸出を許可制にすると発表。輸出管理を厳格化し、米国への流入対策に取り組む姿勢を示しております。

米国が中国籍の船舶から徴収を始めた入港手数料も10日から1年間停止。中国政府も同日、米国船に対する港湾利用料の徴収を同期間実施しないと発表。韓国造船大手ハンファオーシャンに対する取引制限措置の停止も明らかにしております。なお、米中は相互に適用を停止している24%分の関税についても来年11月10日まで停止期間を延長することを決めております。

両国の緊張が一気に高まる引き金となった中国によるレアアース(希土類)の輸出規制強化は、来年11月10日まで効力を停止。中国政府はガリウムやゲルマニウムなどレアメタル(希少金属)の対米禁輸措置を、米国は9月に公表した輸出制限措置をそれぞれ約1年間停止としております。

◆中国、レアアース規制を一部停止

中国政府は11月7日に、レアアース(希土類)の製造技術などに関する一部輸出規制を、来年11月10日まで1年間延期すると発表しました。米中首脳会談の合意内容を実行に移した形となっていますが、レアアースの中でも特に幅広い用途で使われるジスプロシウムの扱いについては触れておらず、ハイテク製品の製造に不可欠な重要物資の供給にはなお不安が残る形となっております。

なお、米国はこの措置も「事実上撤廃される」と説明していました。中国は4月に、米国の対中関税引き上げに対する事実上の対抗措置として、ジスプロシウムを含む一部レアアースの輸出規制を強化。この影響でサプライチェーン(供給網)が大きく混乱し、自動車工場の生産が止まるなど世界各地で影響が出ております。

また、中国政府は11月9日に、レアメタル(希少金属)であるガリウムなどの対米輸出を容認すると発表。昨年12月から輸出を禁じていたものの、来年11月27日まで措置の効力を停止するとしております。

◆中国、米国産大豆の輸入許可を復活

中国税関総署は11月7日に、米企業3社に対する大豆輸入許可を復活させると共に、米国産木材の輸入規制も10日に解除すると発表しました。3月に米中の摩擦激化を背景に輸入許可が停止されていました。

 

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