先進7ヶ国首脳会議(G7サミット)は6月17日、カナダ西部カナナスキスで2日間の日程を終えて閉幕。トランプ米大統領の再登板によって米欧関係が揺らぐ中、対立を回避するため総括的な首脳宣言の採択を見送っております。G7首脳は中東情勢や重要鉱物の供給網強化など、7分野の共同声明に署名しました。
ロシアによるウクライナ侵攻を巡っては、招待を受けた同国のゼレンスキー大統領も交え17日に議論が行われたものの、関連の共同声明は見送られております。米国が他の6ヶ国間で合意した草案の表現を弱めるよう主張し、折り合わなかったようです。
議長国カナダのカーニー首相はG7サミットの議長総括を出し、G7首脳はウクライナ和平に向けたトランプ氏主導の取り組みを支持すると表明。「ロシアへの圧力を最大限に高めるあらゆる選択肢を模索する」と強調しました。
G7首脳は、緊迫する中東情勢に関し、イスラエルの自衛権と安全保障を支持する一方、イランの核兵器保有を決して容認しないなどとする共同声明を採択。このほかの声明では、人工知能(AI)や量子分野での協働を確認。重要鉱物の供給網に関し、中国を念頭に「非市場的な慣行が調達力を脅かしている」と懸念を表明しました。
1975年の発足から50年を迎えた今回のサミットでしたが、トランプ氏が中東情勢を理由に、初日となる16日のみの参加で帰国するなど、今後のG7の結束に不安を残した形。来年のG7サミットはフランス東部エビアンで開催される予定。
◆中国、G7議長総括に反発
中国外務省の郭嘉昆副報道局長は6月18日の記者会見で、中国の過剰生産や台湾問題などに言及した先進7ヶ国首脳会議(G7サミット)の議長総括に反発。「中国への中傷と内政干渉に断固として反対する」と述べ、関係国に抗議したと明らかにしました。
議長国カナダのカーニー首相が発表した総括は、中国に過剰生産の抑制を求めるとともに、東・南シナ海での威圧的行動に懸念を表明。台湾海峡の平和と安定の重要性にも触れた。郭氏は「いわゆる過剰生産は完全に虚偽だ」と反論。「G7は保護貿易主義を実践し、中国の産業発展を抑圧している」と主張しました。
◆トランプ米大統領、G8からロシア排除「大きな過ち」
トランプ米大統領は6月16日に、G7サミットの全体討議を前に、カナダのカーニー首相と会談した際に記者団に対して、2014年に当時のG8の枠組みからロシアを排除したことは「大きな過ちだった」と述べ、ロシアがとどまっていれば「現在のような戦争は起こらなかった」と主張。また、中国がG7の枠組みに加わることについても、「悪いアイデアではない」との考えを示しました。
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