四半期別 米GDP
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米国の第47代米大統領に共和党のドナルド・トランプ氏が1月20日に就任し、トランプ2.0(第2次トランプ米政権)が始動しました。就任初日に内政、経済、外交の各分野で42本の大統領令などに署名。不法移民の強制送還、メキシコやカナダに対する関税引き上げなどを打ち出し、バイデン前米政権が推し進めた主要政策をほぼ全面的に転換する姿勢を鮮明にしております。
トランプ氏は就任演説で「黄金時代が始まる。米国の衰退は終わる」と強調。国際協調よりも自国の利益を優先する「米国第一主義」の政策実現を目指すとしておりますが、国内外で摩擦や対立が顕在化する危うさもはらみます。
トランプ氏は内政の最優先課題と位置付けていた移民対策で、対メキシコ国境に非常事態を宣言。米軍を動員して取り締まりを強化するほか、不法移民を強制送還するための一連の大統領令に署名。「国境の壁」の建設再開も表明しました。
また、2021年1月6日に自らの支持者が選挙結果を覆そうとして起こした連邦議会襲撃事件で、刑事訴追された約1500人全員を「愛国者」と認定し、恩赦・減刑を実施。「政府の公式方針として性別は男女の二つのみとする」と性転換などを認めない考えを明かし、バイデン前米政権が進めた多様性重視の取り組みを翻しております。
外交では、気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱、世界保健機関(WHO)脱退を命令。パナマ運河の再支配やデンマーク領グリーンランドの領有にも意欲を示し、領土拡大を目指す方針を繰り返した。バイデン前米政権が決めたキューバのテロ支援国指定解除も撤回しております。
経済では、エネルギーの国家非常事態を宣言。化石燃料の増産を可能にし、物価引き下げを目指す考えを明確にしました。就任初日はメキシコとカナダからの輸入品に対する25%の関税導入を見送ったものの、2月1日に決めることを検討していると述べております。このほか、連邦レベルでの死刑制度復活、連邦政府職員の在宅勤務禁止、北米最高峰のデナリ山の「マッキンリー山」への改称なども命じております。
就任初日に署名した主な大統領令
・パリ協定から離脱
・南部国境における非常事態を宣言 ・国境管理のために米軍を活用 ・壁建設や不法移民送還を含む国境管理の厳格化 ・犯罪カルテルを外国テロ組織に指定 ・多様性を重視し少数派に配慮する政策を廃止 ・世界保健機関(WHO)から脱退 ・TikTok禁止法を執行猶予 ・北米最高峰デナリの名称をマッキンリー山に戻す ・政府効率化省を設立 ・国家エネルギー非常事態を宣言 ・アラスカ州での資源開発規制を撤廃 ・出生地主義の見直し ・連邦議会襲撃事件の受刑者らを恩赦 ・キューバのテロ支援国家指定解除を撤回 |
※豊トラスティ証券作成
◆トランプ米大統領、中露とトップ外交で「ディール」意欲
トランプ米大統領はホワイトハウスで、中国の習近平国家主席やロシアのプーチン大統領らとの「トップ外交」に意欲を示しました。
トランプ氏は今年中国を訪問するかと記者団から問われ、「可能性はある。招待を受けた」と述べ、早期訪中の可能性を示唆。近日中に電話会談するとみられているプーチン氏とも、時期は不明だとしつつ「会うだろう」と述べ、ロシアによるウクライナ侵攻終結に向け「話さなければならない」と強調。プーチン氏には「(ウクライナと)取引しないことでロシアを破壊している」と警告し、停戦への歩み寄りを促しております。
また、1期目に北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記と良好な関係を築いたと誇示し、北朝鮮について「核保有国」との表現を使用。歴代米政権は核保有国と認めておらず、発言の真意は不明ですが、仮に一定の核保有を認めて正恩氏との軍備管理交渉に応じる構えを見せれば、核放棄を求める日韓との足並みが乱れるとの見方が出ております。
米国などの仲介で1月19日に発効したパレスチナ自治区ガザでの停戦の維持に関しては、「自信はない」と述べ、戦闘が再開する可能性を示唆。ただ、イスラム組織ハマスは「弱体化した」と強調しました。
◆トランプ米大統領、カナダ・メキシコに25%関税検討
トランプ米大統領はホワイトハウスで、2月1日からメキシコとカナダからの輸入品に25%の関税を課すことを検討していると表明しました。また、全輸入品への一律関税を念頭に、米貿易赤字の原因や影響を調査し、関税などの措置を検討するよう関係省庁に命令。貿易相手国の不公正な貿易慣行や通貨安誘導の実態も調べ、対処法を検討するよう指示しております。
一方、全輸入品への10~20%の一律関税は、「準備ができていない」と述べ、即日発動を見送っております。60%の対中関税も実施時期を示さず。ただ、トランプ氏は就任演説で、「貿易体制を全面的に見直す。外国に関税を課す」と表明。大統領令では、貿易環境を徹底的に調査する姿勢を示しており、過激な関税発動の構えを崩さず。
◆トランプ米大統領、国際課税ルールを米国に適用せず
トランプ米大統領は、経済協力開発機構(OECD)加盟国を中心とした国際課税ルールを米国には適用しないとする大統領令に署名。海外援助の見直しも指示し、バイデン前政権が進めた国際協調路線に背を向ける姿勢を鮮明にしました。 また、温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」や世界保健機関(WHO)からの脱退を指示する大統領令に署名しております。
◆トランプ米大統領、不法移民対策で軍動員
トランプ米大統領は不法移民対策に着手し、対メキシコ国境に国家非常事態を宣言し、軍の動員も決定。大統領選で最優先課題に掲げた不法移民の排除に向けて、複数の大統領令で「米史上最大の強制送還作戦」をスタートさせました。
「政府は外国の国境を守るために際限なく資金を投じながら、米国の国境とさらに重要な自国民を守ろうとしなかった」。トランプ氏は就任演説で、ロシアの侵攻を受けるウクライナに多額の支援を行いながら、不法移民の流入を許したバイデン前大統領を声高に非難。その上で、不法入国を食い止め取り締まりを強化するため、軍を国境近くに配置すると表明。さらに、亡命や難民を申請する移民を審査終了まで米国内に滞在させる政策を廃止し、メキシコ側にとどめるとも述べております。政権1期目で進めた「国境の壁」建設を再開する意向も示しております。
◆トランプ米大統領、「パナマ運河取り戻す」
トランプ米大統領は就任演説で、「富を増やし、領土を拡大し、都市を築き、星条旗を新たな美しい地平に運ぶ」と述べ、拡張主義的な野心を示しました。パナマ運河について不当に管理していると中国を批判し、「米国は取り戻す」と強調しました。
「火星に星条旗を打ち立てるため、米国人の宇宙飛行士を送り込む」と表明。メキシコ湾を「アメリカ湾」、北米大陸最高峰のデナリ(アラスカ州)を「マッキンリー」に改称する大統領令に署名しております。トランプ氏は演説で「偉大な大統領ウィリアム・マッキンリーの名を復活させる」と宣言。デナリはアラスカ先住民の呼び名で、オバマ政権下の2015年に変更されております。
また、トランプ氏はホワイトハウスで、デンマーク領グリーンランドに関しても「国際的な安全保障のために必要だ」として領有に意欲を見せ、「グリーンランドの人々はデンマークには不満だが、我々には満足すると思う」と自信も示しております。
◆トランプ米大統領、TikTok禁止75日間猶予
トランプ米大統領は、中国系短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米事業を事実上禁じる法律の執行を75日間猶予する大統領令に署名しました。ティックトック側が米事業の売却や出資受け入れなどの取引をまとめる時間を確保し、米国内でのサービスを継続出来る様にする措置。
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