米国のモノの貿易収支

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トランプ米大統領は2月1日に、カナダとメキシコからの輸入品に25%、中国にも10%の追加関税を課す大統領令に署名。追加関税は2月4日以降の輸入分から適用。米国への不法移民や合成麻薬の流入が止まらないことへの対抗措置で、流入が停止するまで関税を継続するとしております。原油などカナダからのエネルギー関連製品は、税率を10%に軽減。相手国が報復措置を取った場合、さらなる税率の引き上げや対象品目の拡大に踏み切るとしました。

◆トランプ米大統領、カナダから輸入「必要なし」

トランプ米大統領は2月2日にSNSへの投稿で、「我々はカナダが持っているものを必要としていない」と投稿し、カナダからの輸入はなくてもよいとの認識を示した上で、「カナダは大切な『51番目の州』になるべきだ。税金は減り、はるかに良い軍事的な保護があり、関税はない」と再び挑発しております。

◆カナダ・メキシコが報復措置

カナダのトルドー首相は2月1日の記者会見で、米国の関税引き上げは「カナダ国民に打撃を与えるだけでなく、米国民に実際に影響をもたらす」と強調。米製品1250億ドル相当に、25%の関税を課すと発表。

先ずは2月4日に飲料や化粧品、紙製品など300億カナダドル分に対して発動。その後、21日間で対象を拡大するとしております。国内企業には代替取引先探しなど、対応する時間的猶予を与えるとしております。

メキシコのシェインバウム大統領は2月1日にXへの投稿で、関税や非関税の措置を盛り込んだ対抗策の実施を指示すると表明。米国が関税発動の理由として合成麻薬フェンタニルの流入を挙げていることに関し「過去4ヶ月間に2000万回分のフェンタニルを含めて40トン以上の薬物を押収、1万人以上を逮捕した」と説明しております。

◆トランプ米大統領、関税発動前にカナダ・メキシコと協議へ

トランプ米大統領は2月2日に、3日朝にカナダのトルドー首相、メキシコのシェインバウム大統領と協議すると明らかにしました。ただ、トランプ氏は「あまり劇的なことを期待していない。我々は関税を課す」と述べ、撤回の考えはないと強調しております。

トランプ氏は、関税撤回のためには、不法移民や合成麻薬「フェンタニル」の米国流入を止める必要があると説明。さらに「貿易収支を均衡させるべきだ」と述べ、両国に対する米貿易赤字の解消も条件に挙げております。

また、関税の影響による物価上昇懸念について「短期的に多少の痛みがあるかもしれない」としつつも、「米国は、ほとんど全ての国に(貿易)赤字がある。不公正だ」と指摘。米国民の理解を得られるとの見解を示しました。

◆カナダ、WTO提訴検討

トランプ米政権がカナダからの輸入品に課す25%の関税を巡り、AFP通信は2月2日に、カナダが世界貿易機関(WTO)への提訴を検討していると報じております。

◆メキシコ報復関税、自動車除外か

ロイター通信は2月2日に、トランプ米政権が課す25%関税に対するメキシコの報復関税を巡り、同国政府が自動車関連製品を対象から外す方向だと報じました。メキシコには、日米メーカーなどの自動車関連工場が多いため、企業への影響に配慮したとみられております。

◆中国、米関税でWTO提訴へ

中国商務省は2月2日に、トランプ米政権による対中追加関税を巡り、世界貿易機関(WTO)に提訴すると表明しました。「相応の対抗措置」を講じるとも強調。報復関税の導入などを検討しているとみられております。

同省は報道官談話で「中国は強烈な不満を持っており、断固として反対する」と激しく反発。対抗措置は「自国の権利と利益を守るためだ」と説明。ただ、同省は「率直に対話を行い、協力を強化すべきだ」などとも訴えております。外務省も談話で「貿易戦争や関税戦争に勝者はいない」と強調。国内の景気が冷え込む中、経済へのさらなる打撃となる貿易戦争の再燃を避けるため、対話による問題の解決に期待感を示したとみられております。

◆トランプ米大統領、EU向け関税示唆

トランプ米大統領は1月31日に、「欧州連合(EU)には莫大な(貿易)赤字を抱えている。だから我々はEUに対して非常に重要なことを行うつもりだ。(関税を)本来あるべき水準まで引き上げる」と述べ、EUからの輸入品に追加関税を課す可能性を示唆しました。EUの税制や北大西洋条約機構(NATO)加盟国の軍事負担にも不満を述べております。

また、各国から輸入する鉄鋼や半導体などを対象とした、品目ごとの関税引き上げも検討するとし、2月18日頃に実施するとしました。

◆トランプ米大統領、英の関税回避に含み

トランプ米大統領は2月2日に、貿易に関して英国は「一線を越えている」が、関税は回避出来るかもしれないと述べた上で、「(不均衡は)何とかなるのではないか」と語りました。なお、英国のスターマー首相は、トランプ氏が当選して以来同氏を称賛し、英国が米国からどれだけのものを輸入しているかを強調。景気が減速する中、関税を回避しようと奔走しております。

 

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