NY金(中心限月、日足)

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NY金(中心限月)は、FRB内で最もハト派と見られているFRBのブレイナード理事が、0.50%の大幅利上げを示唆するなど、FRBがタカ派姿勢を強める中、米長期金利が上昇基調を取り戻したため上値が重く、1900ドル台前半で揉み合う展開となりました。

注目されたFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨(3月15、16日開催分)では、次回5月のFOMCで資産縮小を開始することが示唆され、多くの参加者は1回当たり0.50%の利上げに積極的であることも明らかとなりました。ただ、FRBがタカ派姿勢を強めるのは、インフレ圧力増大に対する極めて強い警戒感の表れと見られており、安値は「インフレヘッジ」として買い拾われております。

その後、先週末に貴金属業界団体のロンドン・プラチナ・パラジウム・マーケット(LPP)が、ウクライナ情勢を受けて、優良精錬業者の認定リストを見直し、ロシア精錬業者2社との取引を停止すると発表しました。そのため供給への懸念が再燃し、パラジウムや白金が急伸。金もつれ高となったようです。

今週も引き続き米長期金利の上昇が、上値を抑えそうです。一方で、ウクライナに侵攻したロシア軍による民間人虐殺疑惑を受け、先進7ヶ国(G7)はロシア産石炭の輸入禁止や段階的廃止などの追加制裁を決定、供給不足による価格高騰への懸念が強まっております。

また、米債券市場で2年物国債利回りが10年物国債利回りを上回る「長短金利の逆転(逆イールド)」が発生するなど、原油高など国際商品市況の高騰やウクライナ危機による不確実性の高まりで、景気の先行きに対する懸念も拡がりつつあり、「ヘッジ」と買い拾われ易く、底堅い値動きが続きそうです。

テクニカル的には50日平均線を維持出来るかが焦点となりそうです。狭いレンジの値動きが続いておりますが、MACDは下げ止まりつつあるだけに、ゴールデン・クロスとなる様だと底打ち感が強まる可能性があります。3月8日の高値2078.8ドルから3月16日の安値1895.2ドルの下げ幅をフィボナッチ・リトレースメントで見た場合の38.2%戻し水準1965.3ドルを上回ると、再度騰勢が強まりそうです。

なお、今週は4月12日に発表される3月米費者物価指数(CPI)に注目が集まりそうです。また、ボウマンFRB理事やブレイナードFRB理事などFRB高官の講演が多数予定されております。

 

SPDRゴールド・シェアの金保有残高

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世界最大の金ETFであるSPDRゴールドの金保有残高は4月8日時点で1090.49トン。前週比1.24トン減となり、2週連続で減少となっております。

新しい四半期入りに伴うリバランスの動きと見られております。米長期金利の上昇が続く中で、世界全体で見れば残高は増加傾向にあり、ヘッジとして金の人気を示している様に見えます。

 

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