NY金(中心限月、日足)
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先週のNY金(中心限月)は、前週末比38.7ドル安の1703.6ドルで終了。5週連続で下落となりました。ドル指数が約20年ぶり高値で高止まりし、相対的にドル建て金に割高感が生じる中、上値の重い展開が継続。6月米消費者物価指数(CPI)が約40年半ぶりの高水準となったことから、FRBがインフレ抑制へ一段とタカ派に傾斜するとの見方が拡がり、7月14日に1695.0ドルまで下げる場面も見られております。
ただ、その後はFRBのウォラー理事やセントルイス連銀のブラード総裁などFRB高官が1.00%の利上げに慎重な姿勢を示したことで、過度な利上げ観測がやや後退。
米ミシガン大学が7月15日に発表した米消費者調査(速報値)で、1年後の予想インフレ率は5.2%となり、前月から0.1ポイント低下。5年後も2.8%と0.3ポイント低下するなど、インフレ懸念がやや和らいだこともあり、その後は1700ドル付近で揉み合う展開となりました。なお、今週は7月20日にブレイナードFRB副議長の講演が予定されております。
ミシガン、米予想インフレ率
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先週、カナダ中銀が1.00%の利上げに踏み切るなど、世界の中央銀行が続々と政策金利を引き上げる「利上げドミノ」が拡がる中、今週は日銀金融政策決定会合と欧州中銀(ECB)定例理事会、来週はFOMC(米連邦公開市場委員会)が予定されており、今週から来週にかけて「中銀ウィーク」となるため、上値の重い展開が続きそうです。
ただ、インフレ懸念が払しょくされない中で、米2年債利回りが米10年債を上回り、景気後退の予兆とされる「長短金利の逆転(逆イールド)」が加速しているだけに、「安全資産」として買い拾う動きも根強い様です。
また、米10年債利回りに頭打ち感が出て来ている上に、今週ユーロが20年ぶりに1ユーロ=1ドルで並ぶ「パリティ(等価)」となったものの、目標達成感からユーロが買い戻されており、ドル高の動きも一服感が出始めております。一時的に1700ドルを割り込んだことで、昨年8月9日の安値1677.9ドルまで下げる可能性を警戒する必要はありそうですが、テクニカル的に相対力指数(RSI)が30%を割り込み、売られ過ぎ感が強まる中、MACDも下げ止まりの動きを見せ始めているだけに、今週は反発場面となりそうです。
なお、今週は7月21日に欧州中銀(ECB)定例理事会が開催されますが、既に11年ぶりに利上げに踏み切ることは前回の会合で予告されております。欧州連合(EU)の欧州委員会が先週公表した最新の経済見通しで、2022年ユーロ圏成長率を下方修正するなど、ウクライナ危機に伴う深刻なエネルギー高に伴い、欧州の景気後退懸念が強まる中、定例理事会後の記者会見でラガルド総裁が今後の利上げペースについて、どの様に発言するか注目されます。また、ECBが南欧債などの利回り抑制策として、どの様な政策を打ち出すかも注目されそうです。
SPDRゴールド・シェアの金保有残高
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最後に、世界最大の金ETFである「SPDRゴールド・シェア」の金保有残高は7月15日時点で前週末比8.99トン減少の1014.29トン。4週連続で減少となりました。週明けも減少が続いており、1月20日以来の1000トン割れとなるか注目されます。
世界第2位の金ETFである「iシェアーズ・ゴールド・トラスト」も前週末比0.68トン減少の506.83トンと、7週連続で減少となっております。
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