主要国の政策金利
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欧州中央銀行(ECB)は7月21日に定例理事会を開き、政策金利を0.50%引き上げることを決定しました。利上げは2011年7月以来、11年ぶり。金融機関がECBに資金を預ける際に適用する中銀預入金利を現行のマイナス0.50%から0.00%、限界貸出金利は0.25%から0.75%も引き上げております。
ラガルドECB総裁は6月に、今回の利上げ幅は0.25%との見通しを表明していましたが、声明公表後の記者会見で、大幅利上げの理由について「インフレリスクを評価した結果だ」と述べ、一段と物価が上昇していることを挙げております。追加利上げについては「データ次第だ」と説明しました。
ユーロ圏ではロシアによるウクライナ侵攻の影響でエネルギーや食料が値上がりし、6月のインフレ率は前年同月比8.6%上昇と、伸び率は過去最高を更新。ECBが目標とする2%を大幅に超過した状態で、インフレの抑制が急務となっております。一方、ユーロ圏はロシアからの天然ガスの供給減などを背景に、景気後退懸念が出始めております。積極的な金融引き締めは景気を一段と冷やすことになるため、難しいかじ取りを迫られそうです。
なお、ユーロ圏で国債の利回り格差が広がっていることへの対策も決定。一部の国債が売り浴びせられ、金利が急上昇した場合、ECBが買い支えることで利回り格差の拡大を抑える様です。国債の買い入れ額に制限は設けないが、健全な財政政策の運営などを条件とし、伝達保護措置(TPI)と名付けられております。ラガルド総裁は、「金融政策を効果的に行うため、TIPの創設が有効だと判断した」と述べております。
ECBが利上げの方針を表明した6月以降、財政状況が悪いイタリアなどの国債利回りが上昇し、ドイツなどとの格差が拡大。放置すれば欧州債務危機の再来になりかねないとして、対策を求める声が強まっておりました。
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