NY金(中心限月、日足)

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先週のNY金(中心限月)は、前週末比31.8ドル高の1676.6ドルで終了。FOMC(米連邦公開市場委員会)後のパウエルFRB議長の記者会見を受けて急落。11月3日に9月28日の安値1622.2ドルを割り込み、一時1618.3ドルまで下げて、年初来安値を更新する場面も見られております。

FRBはFOMCで、市場の想定通りに4会合連続で通常の3倍にあたる0.75%の利上げを決定。声明で「金融引き締めの経済への影響を検証する」とし、一旦利上げペースを緩める方針を示唆したため、見直し買いが入る場面も見られております。

ただ、その後の記者会見で、パウエルFRB議長が「9月のFOMC参加者の見通しよりも引き上げられる」と明言したため、ターミナルレート(利上げの最終到達点)が、5%を超える水準に引き上げられるとの見方が拡大。

また、「利上げ停止の検討はかなり時期尚早」と述べ、市場の政策転換への期待を強く牽制。ドル指数が上昇に転じたことや、米10年債利回りが一時4.22%を付け、金融政策の影響を受けやすい2年債利回りも4.74%と2007年以来の水準まで上昇したため、金利の付かない資産である金は売られる展開となった様です。

英イングランド銀行(中央銀行)も、0.75%の利上げを決めるなど、高インフレから米欧の中銀による積極的な引き締めが続いていることも嫌気された模様。

ただ、10月米雇用統計を受けて急伸。市場では、雇用統計は強弱まちまちで、FRBが政策方針を変えるほどの内容ではないとの見方が多かったものの、FRBによる利上げ幅縮小の観測を支える程度には減速したとの見方が拡がりました。

米労働需給の一段の逼迫を見込んでいた向きの買い戻しが入った様で、1686.4ドルまで買い進められる場面も見られております。FRB高官から、利上げペース減速を支持する発言が相次いだことも好感された模様。

今週は、8日に米中間選挙、10日に10月米消費者物価指数(CPI)の発表を控えておりますが、テクニカル的には切り下がって来ている50日平均線や一目均衡表の雲を上抜く様だと、1700ドル台を回復する可能性がありそうです。

ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の最新のレポートによると、2022年第3四半期(7-9月)の公的機関の金購入は、過去最高となり、宝飾品需要やバー・コインなど投資用需要も前年同期から大幅に増加するなど、年初から見た価格の割安感から、現物需要の強さが地合いを支えるとの見方が出始めております。

ターミナルレートが未だ見えず、積極的には買いづらい地合いが続くことが想定されますが、年末に向けてクリスマス需要やインドの婚礼需要が増える時期でもあることから、このまま1600ドルを維持する様だと、底打ちムードが強まることも想定されます。

 

SPDRゴールド・シェアの金保有残高

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最後に、世界最大の金ETFである「SPDRゴールド・シェア」の金保有残高は11月4日時点で前週末比15.64トン減少の906.96トンで、4週連続で減少。

世界第2位の金ETFである「iシェアーズ・ゴールド・トラスト」は前週末比3.49トン減少の454.99トンと、10週連続で減少しております。

 

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