世界成長率見通し

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国際通貨基金(IMF)は7月25日に、最新の世界経済見通しを公表。2023年の世界全体の成長率を3.0%と、4月時点の見通しから0.2ポイント引き上げております。米銀破綻に端を発した信用不安を背景とする金融環境の悪化が、コロナ禍からの回復途上にある景気を圧迫する見込み。

金融不安の影響で強い信用収縮や株安が重なれば、世界成長率が1970年以降5回しかない2%割れになるとの試算を示しております。高インフレ下で政策手段が限られるなか、低成長に身構えるよう警鐘を鳴らしました。

インフレ抑制を図る主要中央銀行の金融引き締めが成長を圧迫するとの見方から、2024年は3.0%と、4月時点の見通しで据え置いております。IMFは「世界経済のリスクは下振れだ」と警戒。インフレの長期化による各中銀の一段の引き締めや、金利上昇を受けた銀行経営に対する不安の再燃、中国の景気が減速する恐れに目配りが必要との見解を示しております。

なお、IMFのチーフエコノミストは「過去1ヶ月の金融混乱により、景気の下振れリスクは大きい」と警告。信用不安が一段と高まり、株価急落や資金の安全資産への逃避、ドル高が起きれば、世界の成長率は1%程度に落ち込むとの見方を示しました。

 

世界成長率見通し(国別)

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国・地域別(2023年)では、米国は4月時点から0.2ポイント引き上げて1.8%と予測。1-3月期の堅調な個人消費や、労働市場の強さを反映したとしております。ユーロ圏は0.1ポイント引き上げて0.9%に上方修正。

中国は5.2%で据え置いております。海外への輸出が想定を上回ったことが理由。IMFは「不動産不況のため国内投資が予測を下回った」と指摘。また、若年層の高失業率など経済の構造的な弱さを警戒しております。

日本はコロナ禍で抑えられていた需要が持ち直すとの見方から0.1ポイント引き上げて1.4%と予測しております。

なお、IMFのチーフエコノミスト、ピエールオリビエ・グランシャ氏は7月25日の記者会見で、インフレとの闘いにはまだ勝利を収めていないとし、主要中央銀行に対して金融緩和に転じないことが引き続き重要との見解を示しました。グランシャ氏は「世界経済は回復している」と指摘。ただ「5年は3%前後の低成長を続ける」との見通しを示しております。

 

IMFの成長率見通し

2022年

2023年

2024年

世界全体

3.4% 3.0%(0.2)

3.0%(0.0)

米国

2.1% 1.8%(0.2)

1.0%(-0.1)

ユーロ圏

3.5% 0.9%(0.1)

1.5%(0.1)

英国

4.1% 0.4%(0.7)

1.0%(0.0)

中国

3.0% 5.2%(0.0)

4.5%(0.0)

インド

6.8% 6.1%(0.2)

6.3%(0.0)

日本

1.1% 1.4%(0.1)

1.0%(0.0)

※豊トラスティ証券作成、カッコ内は4月時点からの修正幅

 

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