公的機関の金準備(四半期別)

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産金業界団体ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が8月1日に公表した「Gold Demand Trends」によると、2023年第2四半期(4-6月)の公的機関の金購入は102.9トンと、前期(284.0トン)から急減。前年同期(158.6トン)も下回っております。トルコ中銀の売却が主因。2022年第1四半期(1-3月期、82.4トン)以来、5四半期ぶり低水準となっております。2023年1-6月累計では386.9トン。

西側諸国がウクライナ侵攻に対する経済制裁をロシアに対して行い、保有する米ドルが凍結される中、米国と距離を置く国を中心に制裁下でも融通が利きやすい金へのシフトが続いている様です。

また、外貨準備の運用先分散化の一環として金を購入する中銀が増えております。米国の債務上限問題が市場を揺るがしたのは記憶に新しいところですが、米国の財政赤字拡大に対する懸念から新興国を中心に外貨準備に占める米ドルの比率を減らす一方、金の比率を増やしている模様。

 

 

増減の大きかった上位国(前期比、2023年Q2時点)

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国別では、中国やインドなど常連国に加えて、ポーランドやチェコなど地理的にロシアに近い国の購入や中東諸国、フィリピンやシンガポールなどアジアの購入が目立っております。一方、常連国であるトルコ、カザフスタン、ウズベキスタンの売却が相次ぎました。

なお、2023年第2四半期時点の金保有国ベスト100で、前期から増加させた国は15ヶ国、減少させた国は7ヶ国でした。最も金準備を増加させた国はポーランドで48.4トン増加。一方、最も減少させた国はトルコで132.2トン減少。トルコは3月から5月まで3ヶ月連続で売却したものの、6月は11.4トン購入しております。

 

 

増減の大きかった上位国(前期比、2023年Q2時点)

増加させた国

減少させた国

国 名

前年比 国 名

前年比

ポーランド

48.4トン トルコ

-132.2トン

中国

45.1トン カザフスタン

-18.5トン

チェコ

6.1トン ウズベキスタン

-4.0トン

ロシア

3.1トン ドイツ

-2.2トン

シンガポール

2.9トン モンゴル

-1.9トン

インド

2.8トン メキシコ

-0.1トン

フィリピン

2.4トン モリーシャス

-0.1トン

イラク

2.3トン

カタール

1.6トン

UAE

0.9トン

※WGCのデータを基に豊トラスティ証券作成

 

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