NY金(中心限月、日足)
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先週のNY金(中心限月)は、前週末比29.5ドル安の1946.6ドルで終了。反落に転じました。
7月米雇用統計で景気動向を敏感に反映する非農業部門就業者数が前月比18.7万人増と、市場予想(20.0万人増)を小幅に下回り、5、6月分も下方修正されたため、追加利上げに対する警戒感が後退。一時1984.2ドルまで買い進められる場面も見られております。ただ、平均時給は前年同月比4.4%上昇と、市場予想(4.2%上昇)を上回るなど高止まりが続き、失業率もやや改善。インフレに対する警戒感を払拭できなかったことから、高値を維持することは出来ず。
米10年債利回りが4%台で推移していることに加えて、テクニカル的にも100日平均線でレジスタンスを受ける中、上値の重い展開が継続。世界最大の金ETFであるSPDRゴールドの金保有残高が減少傾向にあることも、上値を重くしている様です。
NY連銀のウィリアムズ総裁が来年の利下げを示唆し、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁が9月のFOMCまでにインフレ再燃を懸念する様なデータが出なければとの条件付きで利上げ打ち止めを示唆した一方、FRBのボウマン理事は「2%のインフレ目標達成には追加利上げが必要」と述べるなど、FRB内でもインフレに対する見方が依然分かれている模様。
そんな中、7月米消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.2%上昇と、13ヶ月ぶりに伸びが加速(前月は3.0%上昇)したものの、市場予想(3.3%上昇)は下回りました。エネルギーと食品を除くコア指数も前年同月比4.7%上昇と、前月(4.8%上昇)からやや鈍化。市場(4.8%上昇)も下回ったため、米インフレの鈍化傾向が示されたとの見方から、買われる場面も見られております。
ただ、翌日に発表された7月米卸売物価指数(PPI)は前年同月比(季節調整済み)0.8%上昇となり、13ヶ月ぶりに伸びが拡大(前月は0.2%上昇)。市場予想(0.7%上昇)も上回りました。変動の激しいエネルギー、食品を除くコア指数も前年同月比2.4%上昇と、伸びは前月と変わらず。市場予想(2.3%上昇)を上回ったため、一転してインフレが依然として高水準にとどまっていることを示唆する内容だったことから、FRBによる早期利下げ観測が後退。また、週末の低調な米国債入札を受けて米長期金利が上昇したことから、金利を生まない資産である金を手放す動きが強まった様です。
今後の焦点は、月末に開催されるジャクソンホール会議となりそうですが、目先は8月16日に公表されるFOMC議事要旨(7月25、26日開催分)に注目が集まりそうです。
テクニカル的には、50日平均線がレジスタンスとして意識され始める中、MACDもデッド・クロスを維持しており、このまま節目の1950ドルを回復出来ない様ですと、再度1900ドル割れを試すことが想定されます。その場合、200日平均線を維持出来るかが焦点となりそうです。
ただ、中国人民銀行(中央銀行)が9ヶ月連続で金を購入するなど、中央銀行の金買いは引き続き活発であり、1900ドル台前半は引き続き実需の買いが価格を下支えすると見られております。
SPDRゴールド・シェアの金保有残高
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最後に、世界最大の金ETFである「SPDRゴールド・シェア」の金保有残高は8月11日時点で前週末比6.37トン減少の899.63トンと、3週連続で減少しております。なお、8月11日に2020年1月28日以来の900トン割れとなっております。
世界第2位の金ETFである「iシェアーズ・ゴールド・トラスト」も前週末比0.59トン減少の440.00トンと、同じく3週連続で減少しております。
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