NY金(中心限月、日足)

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先週のNY金(中心限月)は、前週末比23.4ドル高の1939.9ドルで終了。3週ぶりに反発に転じております。

米長期金利の高止まりを受けて「金利を生まない資産」である金に売り圧力が強まる中、8月7日から17日まで9営業日続落。その後は8月18日から23日まで一転して4営業日続伸となっております。

米長期金利が8月21日に一時4.35%まで上昇。2007年11月以来、約16年ぶりの高水準を付けたことを受けて、1913.6ドルまで下げる場面も見られたものの、200日平均線をサポートに1900ドル割れを回避。その後、米長期金利の上昇が一服したことから、売り方のショート・カバー(買い戻し)を中心に買い拾われた様です。

S&Pグローバルが発表した総合PMI(購買担当者景況指数)速報値は軒並み低調。ユーロ圏は2年9ヶ月ぶり、ドイツが3年3ヶ月ぶり、英国が2年7ヶ月ぶり低水準を記録し、米国も半年ぶり低水準となるなど、景気の先行きに対する楽観的な見方がやや後退し始める中、「安全資産」として買う動きも見られた模様。8月24日に一時1951.3ドルを付ける場面も見られております。

その後、ジャクソンホール会議で講演を行ったパウエルFRB議長の発言はややタカ派な内容であったものの、今後の利上げについて「データ次第」の政策運営方針を強調するにとどまったものの、米長期金利の高止まりを受けて、1950ドル台を回復することは出来ず。

今週は、8月29日に7月米雇用動態調査(JOLTS)、8月30日に8月ADP全米雇用報告、週末に8月米雇用統計など、米雇用関連の発表が相次ぎます。また、8月31日には7月米個人消費支出(PCE)物価指数も発表されます。

パウエル議長の講演を受けて、CMEが公表している米金利先物の値動きからFOMCごとの政策金利を予想する「FedWatch(フェドウォッチ)」(8月25日時点)によると、9月のFOMCでFRBが0.25%の利上げを行うとの見方は20.0%(先週末は11.0%)、据え置きは80.0%(同89.0%)となっており、市場ではやや追加利上げ観測が高まったものの、大勢は据え置きとの見方で変わらず。

ただ、11月のFOMCに関しては、FRBが0.25%の利上げを行うとの見方は46.7%(先週末は38.0%)、据え置きは44.5%(同57.4%)と、拮抗しているものの、やや追加利上げを予測する向きが多くなりつつあることから、引き続き様子見ムードが強そうです。テクニカル的にも50日平均線でレジスタンスを受けて上値が重いだけに、切り上がって来ている200日平均線を維持出来るか注目されます。

直近で米長期金利が4%を上回ったのは昨年10月と今年3月。当時のNY金価格は1600ドル台前半と1800ドル台前半でした。一方、3回目の突破となった今回は1900ドル台で推移しております。7月で利上げが打ち止めになるか、年内もう1回の追加利上げを行うかは経済指標次第となりそうですが、どちらにしてもFRBのターミナルレート(利上げの着地点)が見え始める中で、押した場面では金に見直し買いが入り易くなっている様に見えます。

 

SPDRゴールド・シェアの金保有残高

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最後に、世界最大の金ETFである「SPDRゴールド・シェア」の金保有残高は8月25日時点で前週末比6.06トン減少の884.04トンと、5週連続で減少しております。

世界第2位の金ETFである「iシェアーズ・ゴールド・トラスト」も前週末比5.28トン減少の433.49トンと、同じく5週連続で減少しております。

 

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