米連邦政府の2023会計年度末を迎えた9月30日、議会上下両院は11月半ばまでのつなぎ予算案をいずれも賛成多数で可決。バイデン米大統領が同日夜に署名し、成立しました。2024年度予算案の審議時間を稼ぐための措置で、政府機関の一部閉鎖は土壇場で回避されております。
バイデン米大統領は、閉鎖回避について「米国民にとって良い知らせだ」と歓迎。
つなぎ予算案を巡っては、下院で過半数を占める共和党の保守強硬派が反対し、審議が難航。年度末が迫る中、共和党下院指導部はつなぎ予算案に大幅な支出削減を盛り込むなど、強硬派の主張を反映させたものの、9月29日の採決で強硬派からの造反が相次ぎ、否決されました。
その後、マッカーシー下院議長(共和党)が9月30日に改めて示したつなぎ予算案では、与党民主党に配慮して極端な支出カットは提案されず、災害対策などが含まれたものの、ウクライナ支援を除外。共和党から多数の反対が出る一方、民主党が賛成に回ったため、可決されました。なお、共和党内には、ウクライナ支援よりもメキシコ国境での移民急増に対応すべきだとの主張が根強いため、マッカーシー氏は可決後の記者会見で「ウクライナの国境を心配するなら、米国の国境も心配するべきだ」と強調しました。一方、バイデン米大統領は「いかなる事情があっても、ウクライナへの米国の支援を中断できない」と訴え、マッカーシー氏に今後、ウクライナ支援関連法案を通すよう促しております。
政府閉鎖となれば、妊婦、乳幼児の栄養支援や徴税業務が滞るなど、国民生活の混乱は必至でした。「不必要な危機」(バイデン氏)は当面回避されたものの、2024年度の本予算審議が進んでいない状況に変わりはなく、党内基盤が脆弱なマッカーシー氏が強硬派を抑えられず、ウクライナ支援や歳出削減を巡って議会が再び紛糾する恐れもあります。
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