米国の政策金利
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FRBのパウエル議長は11月9日に、国際通貨基金(IMF)本部で講演し、米国のインフレ率が目標の2%を「依然十分上回っている」との認識を示しました。その上で、物価抑制のための追加利上げの実施について、「適切ならためらわない」と強調しました。一方で、政策判断に際しては「慎重に動く」と明言。ここ2、3ヶ月、良好な米経済指標が相次いでいることを受けて、「判断を誤り、引き締めをやり過ぎてしまうリスクに対処する」との姿勢を明らかにしております。
◆FRB高官の最近の発言
・FRBのウォラー理事は11月7日に、7-9月期米GDPはFRBが次の政策を検討する際に注目すべき「爆発的な」数値だったと述べました。政策を巡る発言は無かった模様。
・FRBのボウマン理事は11月7日に、インフレ低下の進展が停滞するか、低下が不十分と指標が示せば、「利上げを支持する用意がなおもある」と明言。ただ、金融政策に決まったコースはなく、FOMCは経済指標に基づいて会合ごとに政策を判断する方針を改めて強調しました。
・FRBのクック理事は11月8日に、持続的なインフレ圧力や中国の一段の景気減速などが世界の金融安定を脅かす国際的なリスクと指摘。世界の金融システムの脆弱性を悪化させ得るショックに警戒し続けなければならないと述べております。
・NY連銀のウィリアムズ総裁は11月8日に、FRBなど中央銀行が採用するマクロ経済モデルがインフレを見逃したとの批判について、「モデルは政策を組み立てるものではない」と反論しました。
・セントルイス連銀のパエゼ総裁代理は11月9日に、FRBの金融政策は「緩やかに景気抑制的だが、過度に引き締め的ではない」との見方を示しました。また、前回のFOMCで、FRBは政策金利を据え置いたものの、「2%の物価目標達成に必要なら、追加利上げのドアは開いている」と強調しました。
・リッチモンド連銀のバーキン総裁は11月9日に、米国のインフレ率は「依然として高過ぎる」とした上で、物価安定に向けたFRBの仕事は「終わっていない」と述べております。
・フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は11月8日に、FRBの金融政策に関して、現行の政策金利水準で当面据え置くことを支持する考えを示しました。また、物価動向について「ゆっくりだが、安定的なディスインフレを経験している」と述べております。
・ミネアポリス連銀カシュカリ総裁は11月6日に、インフレの動向について「再び上昇しており、懸念している」と述べました。一方、次回会合における政策判断に関し、より多くの情報が必要であり「良い状況にあると言明する用意は出来ていない」と語っております。また、FRBの利上げが不十分にとどまるよりも、引き締めが行き過ぎる過ちのほうがまだましであることを示唆。「引き締め不十分なら、妥当な時期にインフレ率を2%に戻せない」と述べました。さらに、物価や賃金のデータが「インフレ率が2%を上回る水準にとどまることを示しており、非常に懸念される」と明言しております。
・シカゴ連銀のグールズビー総裁は11月7日に、インフレ低下が続けば追加利上げを巡る議論は消え、どれくらい長期に金利を据え置くかという議論に転じていくとの見通しを示しました。その上で、GDPや雇用に関する統計よりも、今後のインフレ指標を注視していく考えを明らにしております。
・ダラス連銀のローガン総裁は11月7日に、インフレ低下に向け金融環境が十分に引き締まっているかを評価する時間を確保するため、先週のFOMCで金利据え置きを支持したと述べております。
・アトランタ連銀のボスティック総裁は11月3日に、経済成長は緩やかで着実な軌道にとどまると予想している。このまま推移すれば、インフレ率を目標とする2%に引き上げるために現在の金融政策は十分に抑制的だと考えられると述べました。同時に「次回会合までの間でさえも、まだ多くのことが起こり得る」とし、今後公表される経済指標で、経済で何が起きているのか、より把握することができるとの考えを示しております。
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