NY白金(日足)
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2024年のNY白金(中心限月)は、1006.6ドルでスタート。昨年末に200日平均線を上抜いたことで騰勢が強まり、昨年12月28日に1016.0ドルまで上昇するも、年が明けるとトレンドが一転。軟調な地合いが続き、1月8日に200日平均線、10日に50日平均線、11日に100日平均線と、主要平均線を次々と割り込み、16日には901.6ドルまで下げる場面も見られております。
昨年末の急伸の反動に加えて、相関性の強い金の軟調な値動きが嫌気されている様です。また、1月3日に公表された昨年12月開催のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨に加えて、昨年12月米雇用統計で米労働市場の底堅さが再確認されたため、FRBによる早期利下げ観測がやや後退。米長期金利が上昇する中、年明け以降ドル高が続いており、相対的にドル建て商品に割高感が意識されております。
それに加えて、昨年12月中国製造業PMIが好調・不調の境目である50を3ヶ月連続で割り込み、改めて中国景気への懸念が強まっていることや、英国によるロシア産金属の経済制裁に関連した供給懸念が後退する中、同じ白金族であるパラジウムが軟調な地合いになっていることも嫌気されている模様。
再び昨年のレンジに戻りつつありますが、900ドル付近では南アフリカの生産コストや、中国の買い付け期待が高まり易い傾向があります。また、南アフリカが夏本番となり、電力不足が意識され易く、1月は年間で一番上げ易い月となっていることから、押し目は買い拾われそうです。
市場では、FRBによる早期利下げ観測は根強く、現在のドル高は長く続かないとの見方が多い様です。また、金との逆鞘は過去最大規模まで拡大しておりますが、今年は金価格が最高値を更新するとの予測が多く、相対的な出遅れ感が白金に対して意識され易く、堅調な値動きが想定されます。
世界景気の減速感が強まる中、現状1000ドル付近では上値が重くなる傾向があり、去年の高値を突破して行くのは簡単ではない様に見えます。とは言え、昨年のパラジウム価格の急落に伴い、白金の生産コストは引き上がると見られており、徐々に昨年よりもレンジが切り上がって行くことが想定されます。なお、昨年12月に、アングロ・アメリカンはコスト節減のため、鉱物の採掘量を大幅に削減する計画を発表しましたが、同社の白金族(PGM)生産コストは約1000ドルと見られております。
昨年4月21日の高値1148.9ドルから同11月10日の安値843.1ドルの下げ幅をフィボナッチ・リトレースメントで見た場合の61.8%戻し水準1032.1ドル、次いで前年高値1148.9ドルを上抜く様だと、2021年以来の1200ドル台に乗せる場面もありそうです。
なお、世界的に電気自動車(EV)の販売が拡大する中、パラジウムは構造的な供給過剰に陥り、一段と下落するとの見方が増えております。一方で、白金は2年連続で供給不足となると見られております。白金業界団体「ワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシル(WPIC)」は昨年11月公表した需給レポートで、2024年の白金需給は11.0トンの供給不足と、2年連続で供給不足となると予測。2024年の供給量は前年から増加する見込みであるものの、白金価格の低迷を受けて、大幅な増加は難しいとした一方で、自動車触媒需要は8年ぶり高水準となる見込み。ガソリン車向けでパラジウムから白金へシフトする動きが続き、代替需要が22トン程度増えると予測しております。
世界に先駆けて電気自動車(EV)化シフトを進めてきた欧州ですが、ここに来て政策の行き詰まり感が出始めております。当初の予定よりも、ガソリン車の販売期間が長くなる様ですと、白金需要が想定よりも増加する可能性がありそうです。また、燃料電池車(FCV)の普及拡大に伴い、白金需要が長期的には大幅に増加するとの期待も根強いものがあります。
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