NY金(中心限月、日足)

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先週のNY金(中心限月)は、前週末比15.0ドル安の2038.7ドルで終了となり、反落に転じました。

米10年債利回りが半月ぶりに4%の大台を割り込んだことから、「金利を生まない資産」である金に見直し買いが入り、2月1日に2083.2ドルまで買い進められる場面も見られたものの、1月米雇用統計を受けて急落。景気動向を敏感に反映する非農業部門就業者数は前月比35.3万人増と、前月(改定値、33.3万人増)から拡大し、市場予想(18.0万人増)も大幅に上回ったほか、平均時給の伸び率も前月から加速。また、「ブラックアウト」期間が明けたFRB高官から「タカ派」な発言が相次いでいることから、FRBによる早期利下げ観測が後退。米長期金利が上昇に転じ、「金利を生まない資産」である金を手放す動きが強まる中、引き続き2050ドル辺りでは上値が重い展開となっております。

CMEが公表している「FedWatch(フェドウォッチ)」(2月9日時点)によると、3月のFOMCでFRBが利下げを開始するとの見方は16.5%まで低下(先週末は38.0%)。5月も60.4%まで低下(同93.8%)するなど、市場は利下げ時期を6月に後ずれしつつある様です(6月は96.4%、先週末は94.9%)。

一方で、米軍がシリアとヨルダンの国境付近で米兵3人が殺害された無人機攻撃への報復として、シリアとイラクで親イラン武装組織の拠点への空爆を開始。イスラエルのネタニヤフ首相が戦闘休止案に対するハマス側の回答について「要求を受け入れることは新たな虐殺を生むだけだ」と述べ、拒否する考えを表明するなど、依然として中東の「地政学リスク」は高いままで、押した場面では「安全資産」として買い拾われております。

世界最大の金ETFであるSPDRゴールドの金保有残高は2月9日時点で昨年末比37.20トン減少。また、米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、大口投機家のNY金のネット・ロングは2月6日時点で1万3947枚増加の16万1738枚。6週ぶりに増加に転じたものの、米欧の投資家は金への投資を抑制している様です。一方で、中国を中心としたアジアの需要は旺盛で、価格を下支えていると見られております。ただ、今週は春節(2月10~17日)となるため、実需の買い支えが弱くなる可能性がありそうです。そのため、50日平均線や1月17日を起点としたアップ・トレンドを維持出来ない様だと、短期的に2000ドル割れを試すことも想定されます。

なお、今週はFRBの利下げ時期の手掛かりとして、13日に発表される1月米消費者物価指数(CPI)や15日に発表される1月米小売売上高に注目があつまりそうです。

 

SPDRゴールド・シェアの金保有残高

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最後に、世界最大の金ETFである「SPDRゴールド・シェア」の金保有残高は2月9日時点で前週末比9.81トン減少の841.92トンと、6週連続で減少。

世界第2位の金ETFである「iシェアーズ・ゴールド・トラスト」は前週末比2.65トン減少の392.96トンと、2週連続で減少しております。

 

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