米ドル・円

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米ドル・円は、5月29日に157.71円まで円安が進む場面も見られたものの、米景気減速を示唆する経済指標が相次ぎ、米長期金利の上昇が一服する中、6月4日に154.49円まで円高が進む場面も見られております。その後、輸入企業を中心とした根強いドル買い需要により、156円台半ばまで押し戻されたものの、政府・日銀による再介入への警戒感に加えて、米長期金利が4.27%まで下げて、4月上旬以来約2ヶ月ぶり低水準となる中、日米金利差拡大観測が後退し始めているため、ドル買いに以前の様な勢いは無く、一段の円安にはならず。

なお、先週末に発表された4月米個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比2.7%上昇となり、伸び率は前月から横ばい。5月ISM米製造業景況感指数は48.7と、前月比0.5ポイント低下。市場予想(49.6)も下回り、好不況の分かれ目となる節目の50を2ヶ月連続で下回ったことから、米景気の先行き懸念が再燃。

また、4月米雇用動態調査(JOLTS)で、非農業部門の求人件数(季節調整済み、速報値)は前月比29.6万件減少の805.9万件と、市場予想(840.0万件)を下回り、米民間雇用サービス会社ADPが発表した5月全米雇用報告も、非農業部門雇用者数が前月比15.2万人増と、市場予想(17.5万人増)を下回ったため、米労働需給の逼迫感が薄れてきたとの見方が拡がっております。

米景気減速を示唆する経済指標が相次いでいるものの、米経済が不況に陥るとの見方は少数派で、市場は「ソフトランディング(軟着陸)」に期待する向きが多い様です。そのため、米長期金利の低下と共に、今後は緩やかに円高が進んで行くとの見方が出始めております。

目先は週末に発表される5月米雇用統計の内容次第の展開となりそうですが、テクニカル的にもMACDがデッド・クロスとなる中、上値が重い展開が続きそうです。5月3日の151.85円から5月14日の156.79円の上げ幅をフィボナッチ・リトレースメントで見た場合の半値押し水準154.32円を維持出来ない様だと、61.8%押し水準153.74円、次いで90日平均線辺りまで下げて来ることも想定されます。

なお、米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、大口投機家のIMM通貨(円)のネット・ロングは5月28日時点で1万1672枚減少のマイナス15万6039枚と、2週連続で減少しております。

 

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