米雇用統計

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米労働省が6月4日に発表した5月米雇用統計(季節調整済み)によると、失業率は4%と、前月から0.1ポイント悪化(市場予想は3.9%)。2022年1月以来の4%となりました。一方、景気動向を敏感に反映する非農業部門就業者数は前月比27.2万人増と、前月(改定値、16.5万人増)から大幅に増加。市場予想(18.5万人増)も上回り、米労働市場の堅調さが改めて示されております。なお、3月分は前月比30.0万人増(従来は30.5万人増)、4月分は16.5万人増(従来は17.5万人増)に、それぞれ修正されております。パウエルFRB議長が注目している3ヶ月平均は24.9万人増でした。労働参加率は62.5%と、前月から0.2ポイント低下。

今回、就業者が増えたのは、医療や政府部門など景気動向に左右されない分野やコロナ禍からの雇用回復が遅れていた建設業で増加が目立ち、米雇用は強さ一辺倒では無くなって来ている様です。求人件数は落ち着き、転職熱も収まりつつあります。

 

米賃金とインフレ率

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インフレに影響する平均時給は前年同月比4.1%上昇。伸びは前月(4.0%上昇)からやや上昇。前月比でも0.4%上昇と、伸びは前月(0.2%上昇)から小幅加速。強い雇用情勢が、依然物価上昇圧力をもたらしている状況が示されております。

FRBの大幅利上げにもかかわらず、米景気は底堅さを保っております。米雇用統計で、失業率は前月から上昇したものの、雇用者数と賃金は市場予想を上回る伸びとなり、総じて労働市場の底堅さを示す内容でした。そのため、FRBは利下げを急がないとの観測が再び拡がっております。

今のところインフレが再燃する兆しはなく、「追加利上げはおそらく不要」(ウォラー理事)とみられておりますが、物価安定を回復するには、景気抑制的な金融政策を続けて需要の伸びを鈍化させる必要があり、FRBは政策金利を「Higher for Longer(より高く、より長く)」とのスタンスを長く維持し、その効果が景気や物価に表れるのを忍耐強く待つ構えと見られております。

今週は6月11、12日の両日にFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されます。FRBは7会合連続で政策金利を据え置くとの見方が市場の大勢を占めております。そのため、FOMCメンバーの経済・金利見通し(SEP)で、年内の利下げ回数が3月時点の3回(中央値)から減るかどうかが焦点となりそうです。

CMEが公表している米金利先物の値動きからFOMCごとの政策金利を予想する「FedWatch(フェドウォッチ)」(6月7日時点)によると、6月のFOMCでFRBが0.25%の利下げを行うとの見方は2.2%、7月は8.2%、9月は50.5%。7月の見方が一段と低下し、市場が想定するFRBの利下げ開始時期は9月がコンセンサスになりつつあります。

また、市場が想定する12月時点のFF金利は5.00%-5.25%が最多となっており、FRBが今年利下げを行う回数は年1回の見通しが再び強まっております。

また、年内はFF金利が据え置かれるとの見方は13.7%。今のところ主流な見方ではないものの、今後の経済指標次第では、利下げが来年に先送りされる可能性もありそうです。

 

なお、米労働省が6月4日に発表した4月米雇用動態調査(JOLTS)によると、非農業部門求人件数(季節調整済み、速報値)は前月比29.6万件減の805.9万件でした。市場予想(840.0万件)も下回り、2ヶ月連続で減少。2021年2月(781.8万件)以来、約3年ぶり低水準となっております。解雇件数は151.5万件と、前月比8.6万人減少。採用件数は564.0万件と、前月比2.3万件増加。

労働省が5月3日発表した4月米雇用統計を基に計算すると、同月は失業者1人に対し、1.24件の求人があった計算となります。

 

米求人件数

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