米雇用統計

↓クリックすると拡大します↓

 

米労働省が7月5日に発表した6月米雇用統計(季節調整済み)によると、失業率は4.1%と、前月から0.1ポイント悪化(市場予想は4.0%)。2021年11月(4.1%)以来2年7ヶ月ぶりの水準に悪化しております。なお、FOMC参加者が6月会合で予測した2024年末の失業率は中央値で4.0%と予測しております。

景気動向を敏感に反映する非農業部門就業者数は前月比20.6万人増と、前月(改定値、21.8万人増)から小幅縮小したものの、市場予想(19.0万人増)を上回り、米労働市場の堅調さが改めて示されております。

ただ、5月分は27.2万人増から21.8万人増、4月分は16.5万人増から10.8万人増に修正され、FRBが重視する3ヶ月平均は17.7万人増と、コロナ禍前の2015~2019年平均(19.3万人増)を下回りました。雇用は、ひと頃の過熱感が落ち着き、堅調さを保っております。労働参加率は62.6%と、前月から0.1ポイント上昇。

 

米賃金とインフレ率

↓クリックすると拡大します↓

 

インフレに影響する平均時給は前年同月比3.9%上昇。伸びは前月(4.1%上昇)から鈍化。前月比でも0.3%上昇と、伸びは前月(0.4%上昇)から減速。インフレ圧力が幾分減退していることをうかがわせる内容となりました。

米労働市場はコロナ禍以降、需要が供給を大きく上回る過熱状態が続き、賃金が上がりやすくなり、インフレ高止まりの一因となって来ました。今回の発表を受けて、市場では労働需給の引き締まり感が薄れ、緩やかに正常化に向かっているとの見方が拡がっております。

今週は7月9、10日の両日にパウエルFRB議長の議会証言が予定されております。また、7月11日に6月米消費者物価指数が発表されます。4、5月に続き、インフレの鈍化傾向が維持されるかが注目されそうです。

 

FedWatch

↓クリックすると拡大します↓

 

なお、CMEが公表している米金利先物の値動きからFOMCごとの政策金利を予想する「FedWatch(フェドウォッチ)」(7月5日時点)によると、7月のFOMCでFRBが0.25%の利下げを行うとの見方は7.2%、9月は72.0%と先週末(57.9%)から大幅に上昇。市場が想定するFRBの利下げ開始時期は9月がコンセンサスになりつつあります。

最後に、米労働省が7月2日に発表した5月米雇用動態調査(JOLTS)によると、非農業部門求人件数(季節調整済み、速報値)は前月比22.1万件増の814.0万件でした。市場予想(790.0万件)を上回り、3ヶ月ぶりに増加に転じております。解雇件数は165.4万件と、前月比11.2万人増加。採用件数は575.6万件と、前月比14.1万件増加。

パウエル議長が注目している「失業者1人あたりの求人件数」は、2022年は2件程度でしたが、労働省が6月7日発表した5月米雇用統計を基に計算すると、同月は失業者1人に対し、1.22件の求人まで低下しております。

 

米求人件数

↓クリックすると拡大します↓

 

※豊トラスティ証券株式会社が提供する投資情報は、あくまで情報提供を目的としたものです。銘柄の選択、売買価格など投資にかかる最終決定は弊社の重要事項説明書を十分にお読み頂き、投資家自身の判断でなさる様にお願い致します。本資料作成につきましては細心の注意を払っておりますが、その正確性については保証するものではなく、万一その内容に誤りがあった場合、その誤りに基づく障害については当社は一切の責任を負いかねます。