ベッセント米財務長官は5月12日に、スイスのジュネーブ開いた記者会見で、「米中双方が関税を115%引き下げることで合意した」と発表しました。期間は90日間。米国の対中追加関税は30%に、中国の対米対抗関税は、一部の農産物などを除いて10%まで下がる模様。互いに100%超の追加関税を掛け合い、貿易が事実上停止する事態は当面、解消される見通し。

米中は経済・貿易に関する協議の枠組みを新設し、交渉を継続するとしております。ベッセント氏は、米中とも「デカップリング(分断)は望んでいない。貿易を望んでいる」と強調。「交渉が進むにつれて、巨額の対中貿易赤字の解消につながる物品購入協定を結ぶ可能性がある」と述べております。

米国は4月2日に「相互関税」として中国からの輸入品に34%の関税を上乗せすると発表。その後、中国が報復したことを理由に、累計145%まで引き上げました。これに応じて、中国も米国からの輸入品に対する関税を125%に設定しております。

共同声明によると、米国は相互関税を当初の34%に戻し、そのうち24%は90日間停止。中国の報復を受けて引き上げた部分は撤回する模様。一方、トランプ米政権が合成麻薬「フェンタニル」の米国流入対策の不備を理由に発動した20%の対中追加関税は継続され、自動車や鉄鋼・アルミニウム製品などにかける分野別関税は譲歩の対象には含まれず、維持される様です。

中国側も米国側と同様の措置を取り、現在125%の対米追加関税を90日間にわたり10%にまで下げるとしております。貿易規制など米国に打ち出した関税以外の対抗策も、一時停止か取り止める模様。

米国と中国は、5月11、12日の両日に、スイスのジュネーブで初の閣僚級協議を開催。米国側からはベッセント氏と米通商代表部(USTR)のグリア代表が出席。中国は経済政策担当の何立峰副首相が出席。ベッセント氏によると、協議には貿易問題に直接関係しない中国政府の公安部門の担当閣僚も出席した模様。習近平国家主席の側近の一人で公安相の王小洪氏が参加したとみられております。

 

 

 

 

 

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