NY原油
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トランプ米大統領は6月21日に、イスラエルと交戦するイランを攻撃したと発表。米軍がイラン本土を直接攻撃したのは初めてとなります。イラン中部のフォルドゥ、ナタンズ、イスファハンにあるウラン濃縮関連施設3ヶ所が標的となりました。
国防総省によると、作戦名「真夜中の鉄つい」は数ヶ月前から準備されていた模様。なお、国際原子力機関(IAEA)は22日に、フォルドゥを含め攻撃された核施設3ヶ所で、施設外の放射能レベル上昇は確認されていないと発表しております。
トランプ氏は攻撃後ホワイトハウスで演説し、「イランの主要な核濃縮施設は完全に破壊された」と強調し、イランに和平協議に応じるよう要求。SNSでは「大きな成功を収めた」とした一方、米国が報復攻撃を受ければ「強大な力で迎え撃つ」と投稿しました。
ヘグセス米国防長官は22日の記者会見で、空爆は最高指導者ハメネイ師が君臨するイランの現体制の転覆を目指してはいないと明言。バンス米副大統領はNBCテレビとのインタビューで、「我々はイランと戦争していない。イランの核計画と戦争している」と主張。「イランが核兵器を持たない状況で平和を望む」と訴えました。
イスラエルのネタニヤフ首相は22日の記者会見で、イランの核とミサイルの脅威を排除できれば「軍事作戦は終了する」と表明。「消耗戦に引きずり込まれることはない」と述べ、短期決着させる姿勢を示しております。
一方、イランのアラグチ外相は訪問先のトルコで、米国の攻撃は国際法に反すると非難し、国益を守るため全ての選択肢を排除しないと表明。米国との交渉については「攻撃され、今は外交の時ではない」と述べております。ロイター通信によると、国営テレビは「この地域の全ての米市民・軍が標的となった」との見解を報じた模様。
また、イラン最高指導者ハメネイ師の顧問は22日に、米軍が対イラン攻撃で使う中東地域の基地などは「正当な標的となる」と述べ、米軍の核施設空爆に報復する意向を示しております。
トランプ米大統領は従来、「米国第一」を掲げ、外国での戦争介入に慎重な姿勢を示してきました。対イラン直接参戦にも慎重姿勢だったものの、18日に核開発を放棄しないイランへの「忍耐は切れた」として参戦の可能性を示唆。19日には攻撃について「2週間以内に決断を下す」と述べ、外交交渉の余地を残す考えも示していたものの、米国とイスラエルの悲願であるイランの核施設の破壊の方が、政権のレガシー(遺産)になると判断し、攻撃に踏み切ったようです。なお、米紙ニューヨーク・タイムズは、FOXテレビがイスラエルの軍事作戦を「天才的」と賛辞している番組をみて、「自身もここで功績を挙げなければ」と考えるようになったと報じております。
◆米国、「集団的自衛権」と正当化
国連安全保障理事会は6月22日に、米国によるイランの核施設空爆を受け緊急の公開会合を開催。米国が「国連憲章にのっとった集団的自衛権の行使だ」と攻撃を正当化したのに対し、イランは「外交を破壊した」と猛反発。中国とロシアも米国批判を展開し、即時停戦を求める決議案を非常任理事国のパキスタンと共に提出したと明らかにしております。
◆イラン最高指導者ハメネイ師と連絡取れず、米・イラン会談が立ち消えに
米ニュースサイト「アクシオス」は6月21日に、イスラエルとイランの交戦を巡り、トランプ米大統領とトルコのエルドアン大統領が先週、イラン側と接触を模索したものの、暗殺を恐れて身を隠すイラン最高指導者ハメネイ師と連絡を取れず、立ち消えになったと報じております。
◆イラン、ホルムズ海峡封鎖を示唆
イラン国営メディアによるとイラン国会は6月22日に、ホルムズ海峡を封鎖することを決議した模様。ただ、封鎖には大統領をトップとする最高安全保障委員会(SNSC)の最終決定が必要で、実際に実行されるかは不明。
ホルムズ海峡は世界の原油の2割が通る原油輸送の要衝。封鎖に踏み切れば原油の供給減少や相場上昇などを通じて世界経済に与える影響は極めて大きいとされます。なお、米金融大手モルガン・スタンレーは6月16日付レポートで、イランがホルムズ海峡や紅海を攻撃した場合、ウクライナ侵略後の水準まで上昇する可能性があると予測しております。
◆英仏独首脳、緊張緩和へ外交継続
英仏独首脳は6月22日に、米国によるイラン攻撃を受けて、「緊張緩和と紛争拡大の抑止に向けて、共同で外交的な努力を続ける」との共同声明を発表しました。イランに対して「地域を不安定にするようないかなる措置」も講じないよう自制を要求。米国の攻撃の是非には触れず。また、イランに核開発を巡る交渉に応じるよう呼び掛けております。
◆IAEA事務局長、核不拡散「瓦解の危機」
国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は6月22日に、米国のイラン攻撃を受けて、紛争が拡大すれば「核不拡散体制が瓦解する恐れがある」とイランの核拡散防止条約(NPT)脱退への危機感を示し、外交的解決を求めました。
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