NY原油

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ネタニヤフ首相は6月13日に、イスラエル軍がイラン中部ナタンズのウラン濃縮施設や各地の軍関連施設を標的に攻撃を行ったと発表しました。イランのメディアによれば、精鋭軍事組織「革命防衛隊」トップのサラミ司令官が死亡。国会議員や大学教授、民間人らも多数殺害された模様。イスラエルによる対イラン攻撃は昨年10月以来で、トランプ米政権発足後は初めてとなります。

米国はイランの核兵器保有阻止に向けて同国との核協議を優先し、イランと激しく対立するイスラエルに自制を求めてきましたが、ネタニヤフ氏はイランが核開発をかつてないほど前進させたとして「イスラエルの存続にとって明確で差し迫った脅威だ」と主張し、攻撃を正当化しました。

イランの最高指導者ハメネイ師は「(イスラエルは)厳しい処罰を覚悟せねばならない」と報復を明言。イスラエルのカッツ国防相は、イランからの反撃が差し迫っているとして全土に非常事態を宣言しております。

なお、米国のルビオ国務長官は、「イスラエルが単独行動を取った。米国は攻撃に関与していない」と表明。米軍基地を報復の対象にしないようイランに警告しております。

トランプ米政権は11日に、一部の在イラク大使館員に国外退避を指示したほか、中東地域に駐留する米兵の家族が地域外に自主退避することを承認。トランプ氏は中東地域が「危険な場所になる可能性がある」と述べるなど、中東の「地政学リスク」が高まっていました。

なお、イスラエルのイランへの攻撃を受けて、NY原油(中心限月)は急伸。13日の時間外取引で一時77.62ドルまで上昇する場面も見られております。イランは世界石油供給の約2割が通過するホルムズ海峡に面しており、ホルムズ海峡の封鎖懸念が高まれば、原油価格が一段と急騰する恐れがあります。

◆国際原子力機関、イラン非難決議を採決

ウィーンで開かれている国際原子力機関(IAEA)理事会は6月12日に、IAEAの核監視業務への協力を怠ったとして、イランを非難する決議案を採択しました。英仏独は結果を踏まえ、2015年の核合意で停止した対イラン制裁の復活に向けた検討を本格化させる見通し。

AFP通信によると、決議案はイランによるIAEAに協力する義務の「不履行」を認定し、「即時是正」を要求。その上で、国連安全保障理事会でこの問題を扱う方針を示唆しております。核合意には、合意以前にイランに科されていた制裁について、安保理が引き続き適用を停止すると決議しない限り、自動的に復活する「スナップバック」と呼ばれる規定があります。

英仏独は11日のIAEA理事会で共同声明を公表し、米国と欧州が現在別個に行っているイランとの協議が実を結ばなかった場合、「スナップバックの発動を検討する」と牽制しました。

◆イラン、ウラン濃縮「新施設稼働へ」

イランの外務省と原子力庁は6月12日に共同声明を発表し、国際原子力機関(IAEA)理事会がイラン非難決議を採択したことに反発し、「安全な場所で新たなウラン濃縮施設を稼働させる」と表明しました。

声明では、イランはこれまで「(IAEAとの)保障措置(査察)の義務を順守してきた」と主張。「政治的な決議に対抗せざるを得ない」と強く批判しております。また、中部フォルドゥの核施設に設置されているウラン濃縮用の遠心分離機についても、最新型に更新すると発表しました。

 

 

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