イスラエルを巡る動き

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イランは4月13日夜から14日にかけて、イスラエルへ約350の無人機やミサイルによる大規模攻撃を行い、1979年のイラン革命以降、45年にわたって敵対してきたイスラエルに対して、初の直接攻撃に踏み切りました。4月1日に起きた在シリア大使館空爆への報復と主張しております。一方、イスラエル軍は「99%を迎撃した」と発表。米英軍もイスラエル防衛を支援した模様。また、イラン以外にイエメンやイラクなどからも攻撃が行われたとしております。

なお、イスラエル側に甚大な人的被害は出なかった様ですが、さらなる緊張激化を避けたいイラン側が「大規模攻撃」を装いつつ、イスラエルの高い防空能力による迎撃を計算に入れ、大きな被害が出ない程度の攻撃に抑えた可能性が指摘されております。

イランのバゲリ軍参謀総長は4月14日に、「作戦は終了した」と主張。アブドラヒアン外相も「米国には限定的対応だったと説明した」と述べるなど、イラン側は今回の攻撃で幕引きを図り、イスラエルとの全面衝突を回避したい構え。

今後はイスラエルの出方が焦点となりますが、イスラエルは対抗措置を予告。イランの精鋭「革命防衛隊」は、「米国やシオニスト(イスラエル)からのいかなる脅威にも釣り合いの取れた対応をする」と警告しており、報復の連鎖が中東情勢の緊迫化を招く懸念が強まっております。

イラン側は今回の攻撃で幕引きを図り、イスラエルとの全面衝突を回避したい構えの様ですが、イスラエルの対応次第では、歯止めなき報復の連鎖に陥る懸念があります。また、イランは中東諸国に分散する親イラン勢力を代理に使い、イスラエルを間接的に攻撃するのを常套手段としており、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラ、イエメンの親イラン武装組織フーシに加えて、イスラム組織ハマスもイランと密接な関係にある。親イラン勢力が暴走する形で、中東情勢が一段と激化する恐れも出ております。

◆米、イラン反撃「参加せず」

バイデン米政権高官は4月14日に、イスラエルがイランに反撃しても「(軍事作戦に)参加することを想定していない」と明言。中東情勢のさらなる悪化は回避したい考えで、イスラエルのネタニヤフ首相には自制を求めている模様。

また、バイデン米大統領は4月15日に、「紛争がこれ以上拡大するのを阻止したい」と述べ、中東情勢のさらなる緊迫化を避けたい意向を示しました。

◆イスラエル政権、報復で「ジレンマ」

イスラエル政府は、イランへの対抗措置を慎重に検討している模様。専門家は「(ネタニヤフ政権は)ジレンマを抱えている」と分析。イランと本格的な報復の応酬に発展すれば、パレスチナ自治区ガザでイスラム組織ハマスとの戦闘を続けるイスラエルにとって大きな負担となります。

なお、米CNNテレビは4月15日に、イスラエル当局者の話として、死傷者を出さない形でのイラン施設への攻撃が検討されていると報じております。また、イスラエルへの大規模攻撃を実施したイランへの対応に集中するため、イスラエルがパレスチナ自治区ガザ最南部ラファへの軍事侵攻を延期を検討しているとしております。

◆安保理でイスラエル・イランが非難応酬

国連安全保障理事会は4月14日に、イランによるイスラエルへの大規模攻撃を受け、緊急の公開会合を開いた。各理事国から緊張緩和と自制を求める声が相次ぐ中、イスラエルは「国連憲章違反だ」と攻撃を糾弾し、対抗措置を取る可能性を示唆。イランは「イスラエルがわが国の在シリア外交施設にテロ攻撃を仕掛けたからだ」と正当化した上で、中東地域や米国との「これ以上の緊張激化や戦争は望んでいない」と強調。イスラエルの反撃を牽制しました。

◆G7首脳、「前例なき攻撃」とイラン非難

先進7ヶ国(G7)首脳は4月14日に、イランによるイスラエル攻撃を受けてテレビ会議を開き、対応を協議。声明で、「前例なき直接攻撃」を強く非難。中東地域に「制御不能な(戦闘の)拡大を招く危険を冒している」として、イランにこれ以上の攻撃を行わない様に求めております。

イスラエルに対する「全面的な連帯・支持」と「安全保障への責任ある関与」を表明。地域の不安定化を図る企てには「一段の措置を講じる用意がある」と警告しました。一方で、G7が「さらなる(緊張の)拡大回避に努める」と強調。イランだけでなく、イスラエルにも反撃を思いとどまるよう、暗に自制を促しております。

 

 

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