パレスチナ自治区ガザで激しい交戦を続けてきたイスラエルとイスラム組織ハマスは1月19日から6週間の停戦入りで合意したと、停戦交渉を仲介してきたカタールのムハンマド首相兼外相が1月15日に発表しました。今後は国際社会が求めている恒久停戦につなげ、地域情勢の安定化を図れるかが焦点となります。
イスラエルの徹底的な攻撃で、イスラム組織ハマスは弱体化した上に孤立。トランプ次期米大統領が1月20日の自身の就任式を事実上の「デッドライン」に設定したことで、交渉が加速した模様。
ハマスは2023年10月に、イスラエル領内への大規模奇襲で市民ら約1200人を殺害し、約250人を人質としてガザに連れ去りました。これに対してイスラエルはガザ全域で軍事作戦を展開。ガザでは4万6000人以上が死亡し、ガザの全人口約230万人の大多数が家を追われております。イスラエル軍が約1年3ヶ月にわたり続けてきた空爆や地上作戦で、パレスチナ自治区ガザは壊滅的な被害を受けており、国連衛星センターが昨年12月に公表した報告書によると、損壊した建物は全体の69%に当たる17万0812棟に上ります。
ムハンマド氏は「これが戦闘の最終ページになることを望む」と述べた上で、紛争当事者に合意順守を訴えました。同じく仲介役の米国のバイデン米大統領も「この日が到来したことに満足している」とし、「戦争の永続的な停止」への足掛かりとなることに期待を示しております。
イスラエルのヘルツォグ大統領は、停戦合意を「正しく、重要で、必要な動きだ」と評価。同国政府は16日の閣議で合意を正式に承認する見通し。一方、ハマスも「我々のガザでの勇敢な抵抗活動に加え、偉大なパレスチナの人々の信念の強さの結果だ」と述べております。戦闘の停止と人質解放は2023年11月下旬から1週間にわたった休戦時以来となります。
AFP通信などによれば、停戦案は3段階で、第1段階として6週間の停戦期間を設置。ハマスは女性や子供など33人の人質を解放し、イスラエルも収監中のパレスチナ人少なくとも数百人を釈放。この人質交換やガザ北部住民の帰還を促すためイスラエル軍はガザの人口密集地域から撤収する様です。さらに、第1段階の「16日目」から第2段階の交渉を開始、残る男性兵士などの人質解放に関し議論するとしております。
◆中東各国、ガザ停戦を歓迎
パレスチナ自治区ガザでのイスラエルとイスラム組織ハマスの停戦合意に対し、中東各国は相次ぎ歓迎の意を示すと共に、恒久停戦の必要性を強調。
停戦交渉を仲介したカタールのタミム首長は「合意によってガザやパレスチナ占領地での侵略や破壊、殺りくが終わるよう期待する」と表明。カタールなどと仲介努力を続けてきたエジプトのシシ大統領も合意を受け「ガザの人々へ緊急に人道支援を届けることが重要だ」と訴えております。
アラブ諸国の盟主を自任するサウジアラビアは外務省声明で、停戦合意の順守やガザからのイスラエル軍完全撤退などが必要だと指摘。東エルサレムを首都とするパレスチナ独立国家樹立を通じた「紛争の根本的要因への対処」を求めております。サウジアラビアの事実上の最高権力者ムハンマド皇太子は、パレスチナ国家樹立を対イスラエル国交正常化の条件としております。
ガザの戦闘でハマスを擁護してきたトルコのエルドアン大統領は「ガザの人々は、イスラエルの違法かつ非人道的な攻撃から自らの土地と自由を勇敢に守った」と讃えた上で、「合意が地域と人類全体の利益となり、永続的な平和と安定の扉を開くことを望む」と評価しております。
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