日銀の植田総裁は8月26日に、「ジャクソンホール会議」のパネル討論に参加。米中対立をはじめとする地政学リスクが、日本や世界経済に成長下振れをもたらす恐れがあるとの見方を示しております。
会議の参加者によると、植田氏は企業が生産拠点を中国から他のアジア諸国に移すなど、地域における貿易、直接投資の流れが足元で変わりつつあると指摘。同盟国や友好国との間で供給網を多様化する「フレンドショアリング」といった動きがもたらすリスクは不透明だと述べた上で、こうした変化が金融政策運営を一段と難しくするとの認識を示した模様。
また、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は8月25日に、「ジャクソンホール会議」で講演し、中央銀行は「インフレとの戦いにまだ勝利していない」との認識を示しました。また、政策金利を物価安定回復で必要な限り「十分に景気抑制的な水準」で維持する考えを明らかにした上で、先行き不透明感が高い時こそ、「中銀は経済のアンカー(いかり)となり、物価安定を確保することが一層重要だ」と訴えております。
今後の利上げペースを巡っては具体的な発言を避けております。ラガルド総裁は、7月のECB定例理事会後の記者会見で、次回9月会合以降の利上げペースは「データ次第だ」と強調。「利上げするかもしれないし据え置くかもしれない」と明言を避け、利上げを見送る可能性にも言及していたため、講演の内容に注目が集まっておりました。
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