米下院は11月12日に、予算切れから10月1日に始まった政府閉鎖の解除に向けて、来年1月末を期限とするつなぎ予算案の修正案を賛成多数で可決。トランプ米大統領は同日に、難航の末に議会を通過したつなぎ予算案の修正案に署名し、予算が成立しました。これを受けて、過去最長となった米政府機関の一部閉鎖は43日目に終了しております。

トランプ氏はホワイトハウスでの署名に際し、記者団に「野党民主党は国をゆすり取ろうとした。政府閉鎖を単に政治的な理由で行った」と批判しております。

下院は9月、当面の政府資金を確保するつなぎ予算案を可決。しかし、上院では医療予算増額を巡る与野党対立から計14回否決され、閉鎖は長期化。民主側の8人が共和党執行部と合意し、フィリバスター(議事妨害)を避けて採決に進む討議終結手続きが前進し、10日に上院を通過していました。

◆米政府機関再開も、「オバマケア」問題は先送り

米政府機関の一部閉鎖は終了したものの、与野党対立の焦点だった医療保険制度(オバマケア)への補助延長問題は先送りされております。補助が年末に失効すれば、2000万人超の利用者は保険料急増に直面しますが、共和党内には医療コスト急増を招いたと、オバマケアへの不信感が強い模様。米医療政策調査機関「KFF」の試算によると、補助失効で来年のオバマケア保険料が平均で2倍超に跳ね上がる可能性がある模様。

オバマケアへの補助は、コロナ禍での経済対策の一環としてバイデン前政権が2021年に導入し、延長されてきました。低所得者の保険料負担は事実上ゼロになる手厚い補助を背景に、オバマケア利用者は2025年には推計で約2400万人と、補助導入前の1000万人程度から急増。利用者拡大に伴い、財政負担も膨れ上がっており、議会予算局(CBO)は補助が恒久化されれば、2035年度までに財政赤字は3500億ドル増加すると試算しております。なお、 トランプ米大統領は、ホワイトハウスで予算案に署名した際「オバマケアは初めから完全な失敗だった」と述べております。

◆レビット米大統領報道官、10月の米雇用統計と消費者物価指数が公表されない可能性を示唆

ビット米大統領報道官は11月12日に、10月米雇用統計と米消費者物価指数(CPI)が発表されない可能性があると述べました。政府機関の一部閉鎖で「統計システムが永久に損なわれた」としております。

 

 

※豊トラスティ証券株式会社が提供する投資情報は、あくまで情報提供を目的としたものです。銘柄の選択、売買価格など投資にかかる最終決定は弊社の重要事項説明書を十分にお読み頂き、投資家自身の判断でなさる様にお願い致します。本資料作成につきましては細心の注意を払っておりますが、その正確性については保証するものではなく、万一その内容に誤りがあった場合、その誤りに基づく障害については当社は一切の責任を負いかねます。