米国のインフレ率
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FRBのパウエル議長は2月4日に、米CBSテレビとのインタビューで、米国のインフレ率低下が「十分進展している」としたものの、「仕事は終わっていない」と言明。2%目標に向けて低下することに「幾分確信があり、確信は増している」と述べたものの、政策金利の引き下げを決定する前に、インフレの持続的な鈍化に関して「さらに幾分確信が欲しい」と訴えました。FOMC(米連邦公開市場委員会)参加者のほぼ全員が「年内の利下げが適切と考えている」と指摘。また、インフレ率がFRBの目標である2%に到達するのを待たずに利下げに着手する意向も示しております。
「経済が強ければ、利下げ開始時期の問題について、慎重に取り組みたい」とし、利下げ時期はあくまでも「経済指標次第」との立場を堅持。利下げが早過ぎる場合と遅過ぎる場合のリスクについて検討を重ねるのが「最善」と言及。労働市場が鈍化するか、インフレ率低下を実際に確認すれば、より早期の利下げを志向するが、インフレが一層持続的なら遅らせる意向も明らかにしました。また、「3月会合時に(利下げへの)確信に至る可能性はないと思う」と述べ、早期利下げ観測を改めて否定しております。最近の米商業用不動産市場の落ち込みに関しては、2008年の「リーマン・ショック」のような金融危機には至らないとの見方を示しました。
◆FRB高官の発言
・FRBのボウマン理事は2月2日の講演で、1月米雇用統計に関して、労働市場の需給バランス改善という昨年からのトレンドが逆行していることを示している様だとの見解を示しました。また、利下げを始める局面にはまだ至っておらず、「大きなインフレ上振れリスクが残っている」と、警戒感を示しております。
・ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、2月5日に公表されたエッセイで、経済指標を踏まえるとFRBの金融政策スタンスは「想定されているほどは引き締め的になっていないかもしれない」との見方を示しました。その上で、利下げ開始決断前に、なおも指標を精査する時間があるとしております。
・シカゴ連銀のグールズビー総裁は2月5日に、米ブルームバーグTVとのインタビューで、インフレ率が目標とする2%に向けて低下傾向が続く限り、FRBはこのところの予想を上回る経済成長と雇用の伸びを過度に懸念する必要はないとの考えを示しました。
◆IMFトップ、米利下げ「タイミング重要」
国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は2月1日に、FRBの利下げについて、「タイミングが極めて重要だ」と述べた上で、「早過ぎても、遅過ぎてもいけない」とし、慎重に時期を判断すべきだとの見解を示しました。FRBが必要以上に金利を高水準にとどめることは「米経済だけでなく、世界経済にもリスクだ」と警告。米金利が高止まりすることによるドル高が、途上国経済を圧迫する恐れを指摘しております。また、「FRBの(インフレ抑制という)仕事は終わりが近い」と分析。利下げのタイミングが「数ヶ月」で訪れると予想しました。
ISM米製造業景況感指数
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◆米製造業景況感、底入れの兆し
米サプライマネジメント協会(ISM)が2月1日に発表した1月米製造業景況感指数は49.1と、前月比2.0ポイント上昇。2022年10月(50.0)以来の水準となりました。ただ、好不況の分かれ目となる節目の50を15ヶ月連続で下回っております。
今回の「不況」は18ヶ月連続で50を下回った2000年8月~2002年1月以来の長さ。「ITバブル」の崩壊時には40.8まで下げる場面も見られた一方、今回は小幅な低下にとどまっており、景況感が底入れしたとの見方も出始めている様です。
なお、2月5日に発表された1月米非製造業景況感指数は53.4と、前月比2.9ポイント上昇。好不況の分かれ目となる節目の50を13ヶ月連続で上回っております。
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