FRBのパウエル議長は7月9日に、米上院銀行委員会で金融政策に関して「直面するリスクは高インフレだけではない」と証言。物価と景気の動向双方に目配りし、慎重に利下げ時期を探っていく考えを示しました。

利下げが早すぎればインフレ再燃、遅すぎても不必要な景気と雇用の悪化をもたらすと警戒。経済指標や見通し、適切な政策の推移について「慎重に精査し続ける」と強調。また、最近の指標では労働市場が「大幅に減速している」と言明。物価上振れと景気下振れの「両リスクをまさに感じている」と述べております。

「インフレが2%の目標に向かって持続的に低下するとの確信をさらに得るまで利下げが適切とは思わない」と改めて指摘。ただ、インフレ減速を示す指標がさらに続けば、「確信が強まる」としたほか、利下げ決定には「良いインフレ指標がもっと必要だ」と明言しました。また、利下げは指標のほか、「労働市場の動向」次第だとし、予想外に労働市場が悪化すれば利下げに踏み切る方針を明示した一方、「次の政策の動きは利上げであることは排除しないものの、可能性は低い」と述べております。

パウエル氏は米経済が「堅調なペースで拡大」しているものの、消費は「依然底堅いながらも鈍化している」と分析。投資の伸びも減速している一方で、住宅投資は増加していると述べました。

労働市場については「強い一方で過熱していないという、コロナ禍前の状況に戻っている」と言及。インフレの動向に影響する賃金の伸びに関しては「依然として高いが、持続的な水準に下がりつつある」との認識を示しております。

また、移民流入のインフレへの影響については、「長期的には中立なものの、短期的には助けになっている」との見方を示しました。移民の急増により、米国の住宅市場が一段と逼迫し、住宅価格を押し上げ、インフレを加速させているとの批判があるものの、移民が労働力供給でインフレ低下に寄与していると指摘。移民増で「経済規模がより大きくなった」とも述べ、移民流入は「インフレが急速に転嫁する一方で経済が成長を遂げるというストーリーの一部だ」と強調しました。

 

 

 

 

 

※豊トラスティ証券株式会社が提供する投資情報は、あくまで情報提供を目的としたものです。銘柄の選択、売買価格など投資にかかる最終決定は弊社の重要事項説明書を十分にお読み頂き、投資家自身の判断でなさる様にお願い致します。本資料作成につきましては細心の注意を払っておりますが、その正確性については保証するものではなく、万一その内容に誤りがあった場合、その誤りに基づく障害については当社は一切の責任を負いかねます。