米雇用統計

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パウエルFRB議長は、8月23日にカンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」で講演し、インフレ鈍化と労働市場の減速を踏まえ、金融緩和へ政策転換する「時機が到来した」と強調。9月のFOMCで利下げを開始することを示唆。インフレ上振れリスクが減じた一方で、雇用悪化リスクが「増大した」と言明。労働市場の一段の減速を「目指さないし、歓迎もしない」と述べ、雇用情勢の健全性維持に全力を挙げる姿勢を明示した。

 

米消費者物価指数

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パウエル氏はインフレに関し、「インフレ率は現在、私たちの目標にかなり近づいている」との認識を示し、インフレ率が「持続的に2%に向かうとの確信は増大した」と述べた。

一方で、「米経済は堅調な成長を続けているが、雇用の下振れリスクは高まっている」と懸念を表明。「物価安定に向けて一段の進展を促す一方、強い労働市場を支援する上で、できることはすべて行う」と語り、適切な利下げ開始により、インフレ抑制と労働市場の健全性維持は可能との見解を明らかにした。

利下げペースなどに関しては「方向性は明確であり、利下げのタイミングとペースは、今後発表されるデータや見通し、リスクのバランスに依存する」と述べるにとどめたが、労働市場の望ましくない悪化リスクなどに対応する上で、「十分な余地がある」との認識を示し、大幅な利下げ余地があることに含みを持たせた。

◆FRB、金融政策枠組み見直しへ

パウエルFRB議長は講演の中で、FRBの政策運営の指針となる現行の「金融政策枠組み」について、年内に見直し作業を始めると明らかにした。改定に際して、「批判や新たな提案を受け入れる」と述べた。

パウエル氏は、コロナ禍で進んだ高インフレは「一時的」としていた当時のFRBの認識は、大半の主要エコノミストや他の中央銀行当局者とおおむね共有されていたと弁明。ただ、結果として「一時的ではなかったことが明らかになった」と認めた。

2020年に修正された金融政策枠組みは、デフレリスクの長期化に対応し、政策運営は「しばらくは(目標の)2%を緩やかに上回るインフレ率達成を目指す」と明示。金融緩和策を続けることが妥当とされた。この枠組みに基づき、FRBはコロナ禍で顕著になった物価高は供給網の混乱が原因であり、「一時的」と判断した。しかし、その後急激なインフレが進んだことで、金融引き締めが遅れたとの批判を招いた。枠組みは5年ごとに見直される。

◆フィラデルフィア連銀総裁、利下げは「整然とした」ものになるべき

フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は8月23日にブルームバーグ通信とのインタビューで、利下げを開始する時期が来たと述べた上で、引き下げの道筋は「整然とした」ものになるべきだと強調した。

◆シカゴ連銀総裁、FRB現行政策「極めて制約的」

シカゴ連銀のグールズビー総裁は8月23日にCNBCとのインタビューで、現在の様な制約的な金利水準は過熱した経済を「冷却」するためだけに必要なものと指摘。現在の経済状況は「過熱した状態にはない」と述べ、利下げを支持する可能性が高いことを示唆した。その上で、インフレ率はFRBが目標とする2%に戻りつつあるのと同時に、「ほぼすべての尺度」で労働市場が冷え込んでいることが示されているとし、労働市場の一部では「警告灯」が灯っていると述べた。

その後、ブルームバーグテレビとのインタビューでは、「利下げのペースのほか、どこまで金利を引き下げるかは、経済情勢次第になる」と言及。重要なのは長期的な政策の方向性との考えを示し、利下げ幅が0.25%ポイントになるか、0.50%ポイントになるか「大論争をするのは意味がない」と述べた。また、金利見通しに関するパウエルFRB議長の発言は「かなり決定的なもの」との見方を示した。

◆ボストン連銀総裁、利下げ開始が近く適切に

ボストン連銀のコリンズ総裁は8月22日にFOXビジネスとのインタビューで、FRBが利下げサイクルを開始することが近いうちに適切になると述べ、9月の会合で利下げを支持する可能性を示唆した。

 

 

 

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