格付け大手フィッチ・レーティングスは8月1日に、米国債の格付けを最上級の「トリプルA」から「ダブルAプラス」に1段階引き下げたと発表しました。理由として、今後3年間で予想される財政状況の悪化や、政府債務の負担増の影響を考慮したとしております。
米政府債務を巡っては、民主・共和両党が借入限度額の引き上げで激しく対立。最終的には両党が折り合って、6月にデフォルト(債務不履行)が回避されましたが、フィッチは「繰り返される政治対立が財政運営の信任をむしばんでいる」と指摘しました。
今後の財政見通しについて、GDP(国内総生産)に占める財政赤字の比率が高まると予想。低成長や金利上昇に伴い、2025年には6.9%と、2022年の3.7%から大きく跳ね上がるとの見方を示しております。一方、歳出改革が急務であるにもかかわらず、高齢化に伴う社会保障費や医療費の増加など中期的な課題への政府の取り組みが不十分だとしております。
なお、フィッチの発表を受けて、イエレン米財務長官は米国債格下げに「強く反対する」との声明を発表。「フィッチの格付け変更は恣意的で、古いデータに基づくものだ」と述べ、米経済は根本的に強く、米国債は引き続き「世界で並外れて安全な資産だ」と強調しております。
また、6月に成立した連邦政府の借入限度額である「債務上限」停止法では、1兆ドル以上の財政赤字削減を盛り込んだと指摘。バイデン米政権が2024年度予算で、長期的な投資を維持しつつ、今後10年で2兆6000億ドルの赤字圧縮を目指す考えを示しております。
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