中国当局は11月8日に、国会にあたる全国人民代表大会(全人代)常務委員会閉幕後の記者会見で、今後5年間で地方債務対策に10兆元を投じると発表。
地方政府がインフラ投資などに活用する特別地方債の発行残高の上限を6兆元に引き上げるとしました。引き上げ分は2026年まで年2兆元ずつ発行。新たに調達する資金を活用し、地方政府傘下の投資会社、融資平台が抱える「隠れ債務」の返済に充てるとしております。中国では不動産不況の長期化で、地方政府の財政悪化が深刻になっており、今回の支援によって地方政府の財政余力を拡大し、景気を下支えする狙い。
藍仏安財政相は記者会見で、これとは別の形で、今後5年で4兆元分の特別地方債を手当てするとし、地方債務対策の合計規模が10兆元になると述べております。また、一連の借り換え策によって「地方政府が解消すべき隠れ債務は(現状の)14.3兆元から2.3兆元に減る」との見通しを示しました。
藍氏は「さらなる財政政策を前向きに検討している」と述べたものの、市場が期待していた具体的な追加景気対策の発表はありませんでした。
中国は2008年のリーマン・ショック後に総額4兆元の景気刺激策を打ち出し、中国経済は世界に先駆けて回復した一方、インフラや不動産への過剰投資が膨らみ、地方政府や企業の債務が急速に膨らみました。そのため、2012年に発足した習近平指導部は企業の過剰債務圧縮に追われたため、財政による景気刺激には慎重との見方が出ております。
中国の消費者物価指数
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中国国家統計局が11月9日に発表した10月中国消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.3%上昇。9ヶ月連続でプラスとなったものの、伸び率は前月(0.4%上昇)を下回り、2ヶ月連続で鈍化しました。
食品は2.9%上昇。中国人の食卓に欠かせない豚肉は14.2%上昇と、前月(16.2%上昇)から鈍化。価格変動の激しい食品とエネルギーを除いたコアインフレ率は0.2%上昇と、前月(0.1%上昇)からやや加速したものの、1%を下回る状況が続いております。
同時に発表された10月中国卸売物価指数(PPI)は2.9%低下。前月(2.8%低下)から鈍化し、25ヶ月連続でマイナスとなっております。
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