NY金(中心限月、日足)
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先週のNY金(中心限月)は、前週末比1.2ドル高の1929.4ドルで終了。小幅ながら6週連続で上昇となりました。FRBが利上げペースを緩めるとの見方が拡がる中、1月26日に一時1949.8ドルを付けるなど、1950ドル超えを試す展開が続いております。
ただ、今週はFOMC(米連邦公開市場委員会)に加えて、欧州中銀(ECB)やイングランド銀行も金融政策会合を予定しており、「中銀ウィーク」となるため、様子見ムードが強まっている様です。
市場では、FRBが利上げ幅を0.25%に縮小するとの見方がコンセンサスになっており、声明文や会合後の記者会見で、利上げの一時停止に関する文言の有無が焦点になりそうです。なお、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは1月22日に、FRBが次回FOMCで「今春に利上げを停止するために労働需要や支出、インフレの鈍化がどの程度必要かを検討し始める可能性がある」と報じております。利上げ停止への期待感が高まる様であれば、2000ドルを意識した動きになることも想定されます。
一方で、早期に利上げ打ち止め期待が拡がり過ぎると、株高や債券高が進み、金融引き締め効果が減殺されてしまうため、市場の期待とは裏腹に、FRBは昨秋以降、あえてタカ派姿勢を維持しているとの見方があります。今回もタカ派姿勢を崩さない様だと、年初からの急ピッチな上昇に対するスピード調整の場面となり、1900ドル辺りまで下げる可能性がありそうです。
ただ、米独を中心とした西側諸国がウクライナに戦車供与を決定したことで、ロシアとの緊張の構図が一段と鮮明となり、「地政学リスク」が高まっております。米連邦政府の債務上限問題も長期化しそうな様相で、「安全資産」として金が意識され始める中、世界最大の金ETFである「SPDRゴールド・シェア」の金保有残高が増加し始めております。
中国やトルコなどアジア諸国を中心に各国中央銀行も積極的に金準備を積み増しており、現物需要が金相場を下支えするとの見方が多い様です。なお、産金業界団体ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)は来週中に需給レポートを発表する予定。
最後に、メタルズ・フォーカスによると、インド政府は2月1日に発表予定の2023年度予算案で、密輸入対策として金の輸入関税を引き下げる模様。実際に関税が引き下げられる様だと、世界二大金需要国である中国とインドで需要回復期待が高まる可能性があります。
SPDRゴールド・シェアの金保有残高
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最後に、世界最大の金ETFである「SPDRゴールド・シェア」の金保有残高は1月27日時点で前週末比1.44トン増加の918.50トンと、2週連続で増加。
また、世界第2位の金ETFである「iシェアーズ・ゴールド・トラスト」は前週末比0.35トン増加の452.41トンと、4週連続で増加しております。
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