NY金(中心限月、日足)

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先週のNY金(中心限月)は、前週末比16.4ドル安の1672.0ドルで終了となり、3週ぶりに反発に転じました。ドル独歩高や米欧の金融引き締めによる金利上昇を受けて、9月26日に節目の1650ドル割れ。米長期金利が一時4%台に乗せる中、9月28日には1622.2ドルまで下げる場面も見られております。

ただ、英イングランド銀行(中央銀行)が、長期債の一時無制限買い入れと量的引き締めの開始延期を発表したことで、米長期金利の上昇が一服したため、安値は買い拾われております。四半期末を控えて、ファンドを中心にショート・カバー(買い戻し)も入った模様。

インフレ対応で後手に回る主要国の中央銀行による急激な金融引き締めへの警戒感から、世界的に金融市場が不安定さを増しております。また、ロシアがウクライナ東・南部の併合を強行する中、「安全資産」として買い拾う動きも出始めている様です。

とは言え、先週末もブレイナードFRB副議長が講演で、「インフレが目標に戻っているとの確信が持てるよう、金融政策は当面、引き締め的になる必要がある。時期尚早な(緩和方向への)政策転換を避ける」と述べた様に、FRB高官からタカ派な発言が相次ぐ中、米長期金利の上昇が止まりそうになく、「金利を生まない資産」である金を積極的には買いづらい地合いが続きそうです。

8月米個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比6.2%上昇。伸び率は2ヶ月連続で鈍化したものの、変動の激しいエネルギーや食品を除いたコア指数は4.9%上昇と、2ヶ月ぶりに伸びが拡大しております。なお、今週は、9月ISM米製造業景況指数や9月米雇用統計の発表が予定されております。

ドル独歩高が続く中、中国やインドなど主要な金需要国の通貨が対ドルで下落し、ドル建て金に割高感が生じていることから、買いが続きにくいとの見方も出ております。また、今週は中国市場が国慶節に伴う大型連休で休場となるため、急落した場合でも中国勢の買いが入りづらいとの懸念も出ております。

そのため、「ベアマーケット・ラリー(弱気相場の中での一時的な上昇)」に留まるとの見方が多い様ですが、MACDはゴールデン・クロスとなっただけに、直近安値1622.2ドルを維持する様だと、底固めの動きになって行くことが想定されます。

 

SPDRゴールド・シェアの金保有残高

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最後に、世界最大の金ETFである「SPDRゴールド・シェア」の金保有残高は9月30日時点で前週末比7.53トン減少の939.70トンと、15週連続で減少。2020年3月24日(935.99トン)以来の低水準となっております。

世界第2位の金ETFである「iシェアーズ・ゴールド・トラスト」は前週末比9.36トン減少の478.95トンと、5週連続で減少しております。

 

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