NY金(中心限月、日足)

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先週のNY金(中心限月)は、前週末比4.1ドル高の1998.5ドルで終了。3週連続で上昇しております。

イスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘激化により、中東の「地政学リスク」が意識されて「安全資産」として買われる中、10月20日に一時2009.2ドルまで上昇。ガザ地区への支援物資搬入が始まり、ハマスが少人数ながらも人質を解放。また、各国首脳らが緊張緩和に向けた取り組みを強化する中、イスラエルによる地上戦開戦のハードルが高くなったとの見方から、買いが一服。10月24日に1964.6ドルまで下げる場面も見られるも、引き続き安値は買い拾われております。

その後、ガザ地区に対するイスラエル軍による地上作戦拡大の報道を受けて、27日に一時2019.7ドルを付けるも、引き続き終値で2000ドル台を回復することは出来ず。

ロシアがウクライナに侵攻した際には、金ETFの金保有残高が急増したが、今回はむしろ減少傾向にあり、実需が価格上昇に追い付けずにいる印象があります。CFTCのデータによると、マネーマネジャーと表記される短期筋のファンドのポジションは10月に入ってから一時2022年11月8日以来の売り越しに転じており、中東の「地政学リスク」の高まりを受けて、慌ててショート・カバー(買い戻し)を入れたことも、価格を押し上げた様です。

米長期金利は2007年7月以来、約16年ぶりに5%に乗せる場面も見られるなど、高止まりが続いておりますが、国債増発による米財政赤字拡大懸念や米つなぎ予算の期限が11月中旬に迫る中、市場の一部では「悪い金利の上昇」を意識し始めている様です。ドルに対する信認が低下する中、金を選好する動きが拡がっている模様。

長い下ひげを引く場面が増えるなど、市場の押し目買い意欲は強く、今週も堅調な値動きが想定されます。引き続き中東情勢を睨みながらの展開となりそうですが、軍事衝突が直ぐには終結しないという不安心理が拡がるなど、情勢次第では終値ベースでは5月15日以来の2000ドル台を回復し、最高値を試すことも想定されます。

なお、今週は10月31日、11月1日の両日にFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されます。市場ではECB(欧州中銀)に続いて、FRBも金利を据え置くとの見方が大勢を占めております。一方で、2023年7-9期米実質GDP(国内総生産)速報値が前期比4.9%増に急拡大するなど、堅調な米経済指標の発表が続く中、パウエルFRB議長が追加利上げについてどこまで言及するかが注目されます。

 

SPDRゴールド・シェアの金保有残高

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最後に、世界最大の金ETFである「SPDRゴールド・シェア」の金保有残高は10月27日時点で前週末比1.44トン減少の861.80トンと、減少に転じております。

世界第2位の金ETFである「iシェアーズ・ゴールド・トラスト」は前週末比1.85トン減少の402.36トンと、14週連続で減少。

 

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