NY金(中心限月、日足)

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先週のNY金(中心限月)は、前週末比0.7ドル高の1999.2ドルで終了。小幅ながら4週連続で上昇しております。

イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が激化する中、中東の「地政学リスク」が意識されて「安全資産」として買い進められて、10月27日に一時2019.7ドルを付けるなど、10月30日に5月15日以来の2000ドル台を回復。ただ、FOMC(米連邦公開市場委員会)を控える中、買い方の利喰い売りに押された様で、大台を維持出来ず。11月1日に1978.2ドルまで下げる場面も見られております。

なお、FOMC(米連邦公開市場委員会)で、FRBは市場の想定通り、2会合連続で政策金利を据え置きました。パウエルFRB議長は声明公表後の記者会見で、「政策スタンスが十分に景気抑制的かはまだ確信できない」と述べ、追加利上げの可能性に含みを残したものの、市場では追加利上げへの過度な警戒感が後退。

その後、発表された10月米雇用統計で、失業率は3.9%と、前月(3.8%)から0.1ポイント悪化。景気動向を敏感に反映する非農業部門就業者数は前月比15.0万人増と、前月(改定値、29.7万人増)を大幅に下回り、市場予想(18.0万人増)も下回りました。

また、平均賃金は前年同月比4.1%増、前月比でも0.2%増と、伸び率は共に前月から鈍化。労働需給の緩和や賃金インフレの抑制を示唆する内容を受けて、FRBによる追加利上げ観測が後退。米10年物米国債の利回りが一時4.4%台まで低下する中、11月3日に一時2011.9ドルを付ける場面も見られております。

ただ、連銀総裁が今回の雇用統計について労働市場の減速や正常化への兆しを認識しつつも、追加利上げの可否について慎重な見解を表明したため、高値を維持出来ず。わずかに2000ドルを割り込んで終了しております。

今週も連銀総裁の発言に加えて、中東情勢を眺めながらの展開が続きそうです。イスラエルに対する国際的な非難は高まっているものの、イスラエルのネタニヤフ首相は、ハマスとの停戦に関して「テロへの降伏であり、あり得ない」と明確に拒否。イスラエル軍はイスラム組織ハマスが実効支配するガザでの地上作戦を拡大しております。イスラエルとハマスの武力衝突が激化し、イランなどの周辺国を巻き込む状況となる可能性は依然残されていることから、押した場面では引き続き「安全資産」として買い拾われることが想定されます。

なお、産金業界団体ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によると、2023年第3四半期(7-9月)の世界金需要は前年同期比5.9%減少。金価格が高止まりする中、宝飾需要やバー・コインなど投資用需要が抑えられた様です。年末にかけて需要期に入って行くものの、2000ドル台に乗せるのは、実需が価格慣れする必要があるとの見方が出ております。

 

SPDRゴールド・シェアの金保有残高

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最後に、世界最大の金ETFである「SPDRゴールド・シェア」の金保有残高は11月3日時点で前週末比1.44トン増加の863.24トンと、増加に転じております。

世界第2位の金ETFである「iシェアーズ・ゴールド・トラスト」は前週末比0.35トン減少の402.01トンと、15週連続で減少。

 

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