NY金(中心限月、日足)

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先週のNY金(中心限月)は、前週末比21.2ドル高の2035.7ドルで終了となり、反発。12月4日に一時2151.2ドルを付けて、最高値を更新。史上初めて2100ドル台に乗せる場面も見られたものの、イベント前のポジション調整の売りに押される展開。12月13日に1987.9ドルまで下げる場面も見られたものの、FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果を受けて、市場で改めてFRBによる早期利下げ観測が強まる中、米長期金利が低下。金利を生まない資産である金の投資妙味が高まり、翌14日に2062.9ドルまで買われる場面も見られております。

パウエル議長は、市場の行き過ぎた利下げ期待を牽制するためタカ派な発言をするとの見方もあっただけに、ハト派色がにじむ発言は「ポジティブ・サプライズ」となった様です。

FRBは市場予想通り、3会合連続で政策金利の据え置きを決定。FOMCメンバー19人の金利見通しで、2024年末のFF金利見通し中央値は年4.625%と、0.25%幅で3回の利下げシナリオが示され、9月時点の見通し(5.125%)の2回から拡大されました。また、パウエルFRB議長は声明公表後の記者会見で、「利上げサイクルのピークにいるか、それに近い状態にある」との認識を示し、追加利上げではなく、利下げの時期を議論したと明言。事実上の利上げ終結宣言を受けて、早期利下げ観測が一段と強まっております。

CMEが公表している米金利先物の値動きからFOMCごとの政策金利を予想する「FedWatch(フェドウォッチ)」(12月15日時点)によると、市場は2024年に6回の利下げを予想しております。4〜5回としていたFOMC前よりも利下げ幅を拡大させるなど、市場の利下げ期待には前のめり感もありますが、「グレートピボット(大転換)」と見る向きもあるなど、世界の金融政策に変化が見られ始めております。

イベント通過で材料出尽くし感に加えて、NY連銀のウィリアムズ総裁の、「(FOMCで)すぐに利下げを行う議論はしていない」発言を受けて、ドルが反発に転じたため、買い方の利喰い売りが先行している様ですが、引き続き2050ドルを突破出来るかが焦点となりそうです。

また、植田日銀総裁の「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」との発言をきっかけに、日銀が早期にマイナス金利政策の解除に動くとの思惑が市場の一部で拡がっております。その後一部報道で、日銀内に「政策修正を急ぐ必要はない」との意見が多いと報じられており、年内のマイナス金利政策の解除は見送られる公算が高いと見られておりますが、金融政策決定会合後の記者会見で、植田日銀総裁がマイナス金利解除など政策正常化に向けて、どこまで踏み込んだ発言をするか注目されそうです。

 

SPDRゴールド・シェアの金保有残高

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最後に、世界最大の金ETFである「SPDRゴールド・シェア」の金保有残高は12月15日時点で前週末比0.86トン減少の879.69トンと、減少に転じました。

一方、世界第2位の金ETFである「iシェアーズ・ゴールド・トラスト」も前週末比0.30トン増加の398.90トンと、2週連続で増加しております。

 

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