NY金(中心限月、日足)

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先週のNY金(中心限月)は、前週末比65.6ドル高の2914.1ドルで終了。反発に転じました。

米欧の景況感の悪化に加えて、トランプ米政権の関税政策を巡る先行き不透明感が拡がる中で投資家のリスクオフ姿勢が強まり、ハイテク株や暗号資産(仮想通貨)などが大幅安となる中、金相場も買い方の利喰い売りや換金売りに押された様で、2月27日は2月7日以来の2900ドル割れで終了。翌2月28日も大幅安となり、2844.1ドルまで下げる場面も見られております。

ただ、米ウクライナ首脳会談の決裂を受けて、世界情勢の先行きに対する警戒感が強まる中、週明け3月3日は急反発となり、2900ドル台を回復。トランプ米政権が3月4日に、カナダとメキシコからの輸入品に対する25%の関税、中国に対しては10%の追加関税を上乗せする措置を発動し、貿易摩擦激化への懸念が強まる中で「安全資産」として金が選好され、その後も2900ドル台前半で推移しているものの、トランプ米大統領の朝令暮改の関税政策に金融市場が一喜一憂する中、乱高下が激しくなっております。

とは言え、トランプ米政権の関税政策を巡る先行き不透明感が強まっている上に、関税強化策が景気悪化とインフレが共存するスタグフレーションを招くとの懸念も拡がっております。また、つなぎ予算の期限(3月14日)も迫る中、引き続き安値は「安全資産」として買い拾われそうです。中央銀行による金購入も引き続き相場を下支えると見られております。既報通り中国人民銀行(中央銀行)によると、2月に中国は金準備を前月比4.98トン積み増しした模様。増加は4ヶ月連続となります。

なお、2月米雇用統計は失業率は4.1%と、前月から0.1ポイント悪化。景気動向を敏感に反映する非農業部門就業者数は前月比15.1万人増と、前月(改定値、12.5万人増)を上回ったものの、市場予想(16.0万人増)は下回りました。

ただ、FRBのパウエル議長が講演で、関税など通商政策のほか、移民、財政政策、規制の4分野について米政権の政策変更を見極める考えを示し、金融政策の変更については「急ぐ必要はなく、より明確になるまで待つことが出来る」と述べ、政策金利を当面据え置き続ける姿勢を堅持。

一連の発表や発言を受けて、CMEが公表している米金利先物の値動きからFOMCごとの政策金利を予想する「FedWatch(フェドウォッチ)」(3月7日時点)によると、3月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、FRBが利下げを行うとの見方は12%と、依然据え置きとの見方が大勢を占めているものの、5月は52.1%まで上昇。6月は約8割まで上昇しております。

最近の冴えない米経済指標を受けて、FRBが年内に0.25%の利下げを3〜4回行うとの見方が拡がりつつあります。目先は、3月12日に発表される2月米消費者物価指数(CPI)や、13日発表の2月米卸売物価指数(PPI)に注目が集まりそうです。

最後に、CMEによるとCOMEXの金認証在庫は1236.88トン。3月5日は前営業日比0.08トン減と、1月22日以来の減少となりましたが、6日は同3.00トン増加しております。

米関税政策を巡る思惑から、世界各国から米国に金地金を移送する流れが続いておりましたが、在庫が減少に転じて行く様ですと、投機的な金買いの動きが一巡する可能性がありそうです。

 

SPDRゴールド・シェアの金保有残高

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最後に、世界最大の金ETFである「SPDRゴールド・シェア」の金保有残高は3月7日時点で前週末比10.04トン減少の894.34トンとなっております。

一方、世界第2位の金ETFである「iシェアーズ・ゴールド・トラスト」は前週末比7.49トン増加の418.80トンと、6週連続で増加しております。

 

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