NY金(中心限月、日足)

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先週のNY金(中心限月)は、前週末比12.6ドル高の1867.2ドルで終了となり、2週連続で上昇。3月3日に2月17日以来の1850ドル台を回復したものの、50日平均線を上回ることは出来ず。改めて上値の重さが意識され始める中、3月7日に急落。パウエルFRB議長が同日の議会証言で、インフレ抑制のために、これまで想定していた以上に政策金利を引き上げる必要性に言及。そのため、FRBの利上げ継続観測が再燃してドル高が進み、相対的にドル建て商品に割高感が生じたことや、米長期金利の上昇を受けて「金利を生まない資産」である金を手放す動きが強まった様です。翌18日に1813.4ドルまで下げる場面も見られております。

ただ、切り上がって来ている100日平均線がサポート・ラインとして意識される中、節目の1800ドルを維持。また、金融引き締めへの警戒感が高まり、米2年債利回りが2007年7月以来約15年ぶりに5%台に乗せる中、利上げが米景気を冷やすとの見方から、2年債が10年債利回りを上回る「逆イールド」が、1981年9月以来41年半ぶりに1%超えとなり、米国の景気後退懸念が再燃。「安全資産」として買い拾う動きも見られた様です。

その後も、2月米雇用統計やシルバゲート銀行の自主清算に加えて、シリコンバレーバンク(SVB)とシグネチャー・バンクが経営破綻し、金融市場のリスク回避ムードが強まる中で買い進められ、3月10日に一時1874.37ドルを付けるなど、4営業日ぶりに1850ドルを上回っております。

3月21、22日の両日に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)を前に、今週は14日に2月米消費者物価指数(CPI)の発表が予定されております。CMEが公表している米金利先物の値動きからFOMCごとの政策金利を予想する「FedWatch(フェドウォッチ)」によると、市場では3月のFOMCでFRBが0.25%の利上げを行うとの見方が再び多くなって来ております。

米中堅銀行シリコンバレーバンク(SVB)やシグネチャー・バンクの相次ぐ経営破綻に対して、米財務省など当局は銀行の連鎖破綻を防ぐため、預金の全額保護を早々に打ち出し、市場や預金者の不安払拭に努める姿勢を示しておりますが、一方で公的資金による金融機関の救済は否定しており、信用不安を食い止められるか、不透明感が漂っているだけに、このまま50日平均線を上抜く様ですと、再度1900ドル超えを試す可能性もありそうです。

なお、中央銀行の金購入が価格の下支えになるとの見方が根強い中、先週は中国が2月も24.88トン金を購入したことが明らかとなり、産金業界団体ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)は、シンガポールが44.6トン金を購入したとしております。

 

SPDRゴールド・シェアの金保有残高

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最後に、世界最大の金ETFである「SPDRゴールド・シェア」の金保有残高は3月10日時点で前週末比10.70トン減少の901.42トンと、4週連続で減少。週ベースの減少幅としては昨年11月4日の週(15.64トン減少)以来の大きさとなりました。

また、世界第2位の金ETFである「iシェアーズ・ゴールド・トラスト」は前週末比2.42トン減少の440.46トンと、5週連続で減少しております。

 

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