NY金(中心限月、日足)

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先週のNY金(中心限月)は、前週末比10.3ドル高の1983.8ドルで終了となり、4週連続で上昇。

米中堅銀行シリコンバレー銀行とシグネチャー銀行の経営破綻をきっかけとした信用不安を受けて景気後退懸念が強まる中、投資家のリスクオフ姿勢が強まり、3月17日に急伸。金融不安が欧州に飛び火し、スイス金融大手クレディ・スイスが経営危機に陥る中、翌20日に一時2014.9ドルまで上昇し、昨年4月18日以来の2000ドル台に乗せる場面も見られたものの、終値で2000ドル台を回復することは出来ず。

その後、クレディ・スイスをスイス同業UBSが買収することで合意。また、金融市場の沈静化のため、FRBなど日米欧の6中央銀行が米ドルの資金供給策を拡充すると発表したこともあり、リスクオフの動きがやや後退。また、大台に乗せた達成感から買い方の利喰い売りが出た様で、1950ドルを割り込む場面も見られております。

注目されたFOMC(米連邦公開市場委員会)で、FRBは0.25%の利上げを決定。米中堅銀行の相次ぐ破綻をきっかけに信用不安が燻る中でも、インフレ抑制を優先した様です。一方、声明文で今後の利上げについて複数回を示す「継続的な」という表現を無くし、「いくらか追加の引き締めが適切になるだろう」に変更。また、声明と同時に公表されたFOMCメンバー18人の経済・金利見通し(SEP)で、2023年末のFF金利見通し中央値は5.125%と、昨年12月時点の見通しと変わらず。0.25%幅であと1回の利上げを見込む想定となり、利上げの到達点に近づいていることが示唆されたため、「金利を生まない資産」である金を選好する動きが拡大。

前週末に欧州市場で銀行セクターの先行きに不安感が広がり、ドイツ銀行などの銀行株が急落する中、再度2000ドルを上回る場面も見られております。一連の対応でFRBのバランスシートが急拡大しており、新たなインフレ要因になるとの見方が拡がっていることも価格を押し上げている模様。

テクニカル的に、2月2日の高値1975.2ドルを上抜いたことで、Wトップ型を崩した形となり、先高感が強まっております。また、米欧の金融システムを巡る信用不安が燻る中で、金は「安全資産」として選好され易くなっているものの、2000ドル付近では買い方の利喰い売りも出易く、今週も引き続き2000ドルを挟みながら、昨年3月8日に付けた最高値2078.8ドルを意識した動きが続きそうです。

今週3月28、29日に米議会で米中堅銀行の経営破綻に関する公聴会が開催されます。証人としてバーFRB副議長(金融監督担当)とグルーエンバーグ連邦預金保険公社(FDIC)総裁が証言する予定で、発言次第で市場が再び不安定になる可能性もありそうです。

 

SPDRゴールド・シェアの金保有残高

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最後に、世界最大の金ETFである「SPDRゴールド・シェア」の金保有残高は3月24日時点で前週末比2.89トン増加の923.97トンと、2週連続で増加となりました。

また、世界第2位の金ETFである「iシェアーズ・ゴールド・トラスト」も前週末比0.91トン増加の441.61トンと、2週連続で増加しております。

 

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