NY金(中心限月、日足)

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先週のNY金(中心限月)は、前週末比5.0ドル安の2019.8ドルで終了となり、3週ぶりに反落。米中堅銀行の信用不安などを背景にFRBの利上げ打ち止め感が拡がる中、5月4日に2085.4ドルまで買い進められて、2020年8月7日に付けた最高値2089.2ドルに迫るも、先週末に発表された4月米雇用統計で、堅調な雇用が確認されたことを受けて、買い方の利喰い売りに押される展開となり、最高値を更新出来ず。

先週注目された経済指標である4月米消費者物価指数(CPI)は、前年同月比4.9%上昇。市場予想(5.0%上昇)を下回り、2021年4月以来2年ぶりの低水準となりました。一方で、変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数は5.5%上昇と、前月(5.6%上昇)を下回ったものの、市場予想と一致。アトランタ連銀が算出する「賃金トラッカー」(3ヶ月平均)は昨夏をピークに前年比の伸びが鈍化していたものの、3月は6.4%に再加速。コロナ禍による離職者の増加を受けた人手不足と賃上げ圧力が幅広いサービス価格を押し上げる中、FRBが目標とする2%はなお大幅に上回って推移しており、年内の利下げ開始を意識させるほどの内容ではなかったとの見方が拡がりました。FRB高官からもインフレの高止まりを警戒する発言が相次いでおり、最高値を試す展開とはならず。

先週末に米ミシガン大学が発表した5月米消費者景況感指数(暫定値)は、1年先期待インフレ率は前月(確報値)から0.1ポイント低下の4.5%と、昨年11月以来半年ぶりの低水準に落ち込み、市場では景気後退とインフレが同時に進むスタグフレーション懸念を強める内容となりました。

これを受けて「安全資産」として金を買い拾う動きが強まる場面も見られたものの、引き続き高水準を維持した上に、5年先期待インフレ率は3.2%と約12年ぶりの高水準に上昇。今後のインフレ期待も高いことが示され、FRBが6月のFOMCで追加利上げを行うとの見方がやや拡がり、ドルが上昇したため、上値が抑えられた様です。なお、ミシガン大の調査は、FRBのパウエル議長が重要視するデータの一つとされます。

債務上限引き上げ問題は財政資金が枯渇するとされる6月1日が迫っているものの、最終的には合意に至ると見方は依然多い様です。ただ、マッカーシー下院議長が共和党をまとめ切れずに与野党対立が激化する中、協議は期限ぎりぎりまで合意出来ないチキンゲームになるとの見方も出始めております。なお、バイデン米大統領は、連邦政府債務の上限引き上げ問題を巡る野党・共和党のマッカーシー下院議長らとの会談が16日になるとの見通しを示しております。

インフレの高止まりや大幅利上げによる米国のリセッション(景気後退)も意識され始めており、引き続き底堅い値動きが続きそうです。2000ドルを割り込む場面では、切り上がって来ている50日平均線を維持出来るか注目されます。

 

SPDRゴールド・シェアの金保有残高

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最後に、世界最大の金ETFである「SPDRゴールド・シェア」の金保有残高は5月12日時点で前週末比5.76トン増加の937.54トンと、3週連続で増加。

世界第2位の金ETFである「iシェアーズ・ゴールド・トラスト」は前週末比2.33トン増加の454.76トンと、増加に転じております。

 

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