NY金(中心限月、日足)

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先週のNY金(中心限月)は、前週末比25.3ドル高の1875.5ドルで終了。200日平均線でサポートされる一方で、米長期金利の上昇を受けて上値が重い中、1850ドルを挟んだ狭いレンジで推移していたものの、5月米消費者物価指数の発表を受けて急伸して終了しました。

5月米雇用統計で、米労働需給の逼迫感が鮮明となる中、5月米消費者物価指数(CPI)は前年同月比8.6%上昇、前月比でも1.0%上昇し、前月から伸びが加速。ロシアのウクライナ侵攻を背景にしたエネルギー価格に加え、宿泊や航空券などサービス価格も含む幅広い分野で物価の上昇が続いており、インフレが「ピークアウト」したとの見方を打ち消す結果となりました。

パウエル議長は、6、7月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、通常の2倍となる0.50%の大幅利上げを行う方針を明言しておりますが、CPIの結果を受けて9月も0.50%の利上げに動くとの見方が拡がっております。また、英金融大手バークレイズなど一部大手金融機関では、6月のFOMCで0.75%の利上げを行うとの見方も出始めている様です。

 

米インフレ率

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米10年債利回りが一時3.1%を超えたため、売りが先行したものの、急速な金融引き締めによる米景気後退懸念が強まったことから、「安全資産」として買われております。米ミシガン大学が発表した6月米消費者信頼感指数(暫定値)が統計開始以来の最低を更新したことも、景気後退観測が強まる一因となった様です。なお、英金融大手スタンダード・チャータードのアナリストは、利上げの見通しや軟調な現物市場を考えると、金相場は「驚くほど底堅い」と述べております。

急速な金融引き締めに対する懸念が再燃する中、今週は14、15日の両日にFOMCが開催されます。今後の利上げペースを占う上で、声明公表後のパウエル議長の会見や、FOMCメンバーの景気見通し及びドットチャートに注目が集まりそうです。

0.75%の利上げに踏み切るなど、FRBのタカ派姿勢が強まれば、再度1800ドル近くまで下げる可能性もありそうですが、景気後退と物価上昇が同時進行する「スタグフレーション」に対する警戒感が再度強まる中、安値は「安全資産」として買い拾われることが想定されます。

テクニカル的には、引き続き200日平均線を維持しつつ、切り下がって来ている50日平均線や100日平均線を上抜くことが出来るかが焦点となりそうです。

SPDRゴールド・シェアの金保有残高

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最後に、世界最大の金ETFである「SPDRゴールド・シェア」の金保有残高は6月10日時点で1068.87トンと、前週末比2.83トン増加。一方、世界第2位の金ETFである「iシェアーズ・ゴールド・トラスト」は前週末比3.28トン減少の515.04トンで、2週連続で減少となりました。

 

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