NY金(中心限月、日足)

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先週のNY金(中心限月)は、、前週末比59.2ドル安の1742.3ドルで終了。4週連続で下落となりました。

6月27日から7月6日まで7営業日続落。7月5日に急落となり、1月31日以来の1800ドル割れ。翌6日も大幅安で終了。8日には1726.0ドルまで下げる場面も見られております。世界の中央銀行による金融引き締めに伴うリセッション(景気後退)懸念が拡がる中、ドル指数は「安全資産」と見なされて約20年ぶり高値まで上昇。相対的にドル建て金に割高感が生じたことが嫌気された様です。

7月6日に公表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨(6月14、15日開催分)では、次回会合で再び0.75%の利上げすることも辞さないなど、景気を一時的に減速させてもインフレを封じ込めるFRBの姿勢が明確になりましたが、新鮮味に乏しく、市場の想定以上に「タカ派」な内容でも無かったため、その後は見直し買いが入り始めております。

 

米雇用統計

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なお、7月8日に発表された6月米雇用統計によると、非農業部門就業者数は前月比37.2万人増となり、市場予想(26.8万人増)を大きく上回りました。失業率は3.6%で横ばい、平均時給は前年同月比5.1%上昇と、伸び率は市場予想(5.0%)をやや上回っております。雇用統計で米労働市場の力強さが示されたものの、市場では今月のFOMCで0.75%の利上げを決定することはコンセンサスになっていることから、こちらも影響は軽微でした。

今週は13日に6月米消費者物価指数(CPI)の発表が予定されております。CPIが市場の想定以上に上振れする様だと、大幅利上げ観測が再燃しそうです。

とは言え、インフレ懸念が払しょくされない中で、米2年債利回りが米10年債を上回り、景気後退の予兆とされる「長短金利の逆転(逆イールド)」が発生。米景気の減速懸念が強まる中、物価高と景気停滞が同時に起きる「スタグフレーション」が意識され始めております。「スタグフレーション」の状況を示す指標される「悲惨指数」とNY金の相関性は高く、安値は買い拾われることが想定されます。

また、物価高に対する国民の不満が高まる中、世界各地で「政治リスク」が高まっており、引き続き「安全資産」としても意識されそうです。米国では11月の中間選挙で与党・民主党の苦戦が伝えられ、フランスでは6月の国民議会(下院)選で与党が敗北。ドイツではショルツ政権の支持率が急落し、イタリアでは極右政党の支持率が伸びております。英国では先週、ジョンソン首相が辞任を表明しました。

ユーロ対ドルで約20年ぶりの安値水準となり、1ユーロ=1ドルの等価(パリティ)が意識され始める中、相対的にドル建て金は上値の重い展開が続きそうですが、目先は1700ドルを維持しつつ、1750ドルを突破出来るか注目されます。突破する様だと、6月17日の高値1882.5ドルから7月6日の安値1730.7ドルの下げ幅をフィボナッチ・リトレースメントで見た場合の38.2%戻し水準1788.7ドルを意識した動きになることが想定されます。

 

SPDRゴールド・シェアの金保有残高

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最後に、世界最大の金ETFである「SPDRゴールド・シェア」の金保有残高は7月8日時点で前週末比18.63トン減少の1023.27トン。3週連続で減少となりました。

世界第2位の金ETFである「iシェアーズ・ゴールド・トラスト」も前週末比2.65トン減少の507.51トンと、6週連続で減少となっております。

 

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