NY金(中心限月、日足)
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先週のNY金(中心限月)は、前週末比27.2ドル高の1967.1ドルで終了。2週連続で上昇しております。
ジャクソンホール会議で講演を行ったパウエルFRB議長の発言がややタカ派な内容であったことを受けて売られる場面も見られたものの、今後の利上げについて「データ次第」の政策運営方針を強調するにとどめたことから、米長期金利の上昇が一服。その後も、やや弱めの米経済指標が相次ぎ、労働市場での過熱感の沈静化と景気の減速を示唆する内容となったことから、FRBによる一段の利上げ観測が後退。米長期金利が低下する中、「金利を生まない資産」である金に見直し買いが入り、8月29日に50日平均線を突破。翌30日に一時1977.1ドルを付ける場面も見られております。
ただ、8月31日に発表された7月米個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比3.3%上昇。伸び率は前月(3.0%)から3ヶ月ぶりに加速。価格変動が激しいエネルギーと食品を除いたコア指数も4.2%上昇と、伸び率は前月(4.1%)から小幅加速したことから、上昇が一服。
米労働省が9月1日に発表した8月米雇用統計(季節調整済み)によると、失業率は3.8%と前月から0.3ポイント悪化。2022年2月以来の高さ(市場予想は3.5%)。ただ、労働参加率は62.8%と、2020年2月(63.3%)以来の高水準となるなど、米経済の悪化というよりも、職探しをする人が増えた結果と好意的な見方が広がっております。
景気動向を敏感に反映する非農業部門就業者数は前月比18.7万人増と、前月(改定値、15.7万人増)から増加。市場予想(17.0万人増)も上回り、雇用情勢の堅調さが示されました。ただ、7月に加えて6月分も10.5万人増に下方修正され、3ヶ月連続で20万人を下回り、3ヶ月平均では15.0万人増と、新型コロナウイルスの影響が経済を直撃し始めた2020年3月以降では最低となったことに加えて、平均時給は前年同月比4.3%増と、前月(4.4%増)から伸びがやや鈍化。労働市場の過熱感が薄れてきたとの見方から追加の利上げ観測が後退し、一時1980.2ドルまで買い進められる場面も見られております。
ただ、高値を維持することは出来ず。とは言え、FRBのターミナルレート(利上げの着地点)が見え始める中、押した場面では引き続き買い拾われそうです。中銀を中心とした実需の買いが注目を集めておりますが、米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、大口投機家のNY金のネット・ロングは8月29日時点で2万1326枚増加の12万3272枚と、6週ぶりに増加に転じた。3月7日時点(9万8474枚)以来の低水準となった8月22日時点(10万1946枚)から増加に転じましたが、ファンドにも買い余地が出始めているとの見方が出ております。引き続き50日平均線を維持しつつ、100日平均線を上抜くことが出来るか注目されます。
SPDRゴールド・シェアの金保有残高
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最後に、世界最大の金ETFである「SPDRゴールド・シェア」の金保有残高は9月1日時点で前週末比6.92トン増加の890.97トンと、6週ぶりに増加に転じております。
一方、世界第2位の金ETFである「iシェアーズ・ゴールド・トラスト」は前週末比3.44トン減少の430.05トンと、6週連続で減少しております。
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