NY金(中心限月、日足)
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先週のNY金(中心限月)は、前週末比27.2ドル安の1722.6ドルで終了。3週連続で続落となりました。ワイオミング州ジャクソンホールで開催された経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」で、パウエルFRB議長が依然高止まりするインフレの抑制には、金融引き締めを「しばらくの間」維持する必要があるとの見解を表明したことを受けて急落。
クリーブランド連銀のメスター総裁が、政策金利を来年初頭までに4%をやや上回る水準まで引き上げ、その水準を維持する必要があると述べるなど、その後もFRB高官から相次いでタカ派な発言が続く中、FRBによる積極利上げが続くとの見方から米長期金利が上昇。
ドル指数が20年ぶり高値を付けるなど、ドル独歩高が続き、相対的にドル建て商品に割高感が意識される中、9月1日に1699.1ドルまで下げる場面もみられております。
米雇用統計
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週末に発表された8月米雇用統計によると、景気動向を敏感に反映する非農業部門就業者数は前月から31.5万人増となり、増加幅は前月(改定値、52.6万人)から鈍化。市場予想(30.0万人増)はやや上回ったものの、6、7月分は下方修正されました。また、失業率は3.7%と、前月比0.2ポイント悪化の3.7%に悪化(市場予想は3.5%)。労働参加率は前月から0.3ポイント上昇の62.4%で、3ヶ月ぶりに上昇に転じております。
平均時給は前年同月比5.2%上昇と、前月と同水準の高い伸び。前月比では0.3%増と、前月(0.5%増)から伸びが鈍化したものの、引き続き高い伸びが続いております。
労働市場の全般的な堅調さが続いていることが改めて示される結果となりました。FRBは、人手不足で賃金が上昇し、記録的なインフレをさらに押し上げるリスクを警戒しており、9月20、21日の両日に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)で、3会合連続で通常の3倍となる0.75%の利上げを決めるとの見方が多い様です。
ただ、米国がレーバー・デー(労働者の日)に伴う連休となることや、終値ベースでは1700ドルを維持したことから、売り方のショート・カバー(買い戻し)を中心に買い拾われた模様。再び実需が買い支えたと飲み方も出ております。
とは言え、7月の急落時とは違い、再びドル独歩高が進む中、今週も引き続き上値の重い展開が想定されます。テクニカル的もMACDはデッド・クロスを維持している上に、一目均衡表の雲がレジスタンスとして意識され始めていることから、反発場面では戻り売り圧力が強まりそうです。
今週もブレイナードFRB副議長やシカゴ連銀のエバンス総裁などの講演が予定されており、FRB高官の発言に注目が集まりそうですが、9月8日にパウエルFRB議長は討論会に参加予定となっております。また、9月7日にはベージュブック(全米地区連銀経済報告)が公表されます。
また、9月5日に「OPECプラス」の閣僚級会合、9月5日にジョンソン英首相の後任を選ぶ与党保守党の党首選の結果、9月8日には欧州中銀(ECB)定例理事会が開催されます。欧州でインフレ高進が止まらない中、0.75%の利上げ観測が拡がっておりますが、大幅利上げとなれば欧州景気の悪化懸念が一段と高まり、ユーロ安が加速する可能性もありそうです。
SPDRゴールド・シェアの金保有残高
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最後に、世界最大の金ETFである「SPDRゴールド・シェア」の金保有残高は9月2日時点で前週末比11.30トン減少の973.08トンと、11週連続で減少。
一方、世界第2位の金ETFである「iシェアーズ・ゴールド・トラスト」は前週末比1.82トン減少の494.95トンと、再び減少に転じました。
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